楊暁文 著、東方書店、1998年、392p、A5判
近代中国の代表的文人についての本格的研究!
本書は、近代中国を代表する画家・文学者・翻訳者・芸術教育家であった豊子愷(1898~1975年)についての初めての本格的研究である。あまたある彼の業績の中から、竹久夢二の草画をヒントに生み出された漫画、吉川幸次郎によって日本に紹介され、谷崎潤一郎に高く評価された随筆作品、他の追随を許さない決定版と称される『草枕』『源氏物語』の中国語訳などについて日本との関わりを深く掘り下げ、それとともに彼の業績のバックボーンとしての仏教思想の影響が明らかにされている。豊の娘・豊一吟から提供された資料を基に作成された年譜と併せ、今後の豊子愷研究の基本的文献たりうる、大きな学術的価値をもつ一冊である。
構成
『豊子愷研究』によせて(山田敬三)
『豊子愷研究』の出版を喜ぶ(豊一吟)
第1部 豊子愷研究の現況
第2部 豊子愷と日本
第1章 竹久夢二の影を出て―豊子愷と竹久夢二
第2章 豊子愷における夏目漱石像
第3章 豊子愷の翻訳―その『源氏物語』訳について
第4章 豊子愷の日本観
第3部 豊子愷と中国
第1章 豊子愷の芸術教育論
第2章 豊子愷の児童文学
第3章 豊子愷の仏教思想
第4部 関適を夢見た文人
資料:豊子愷年譜/豊子愷に関する日中文献一覧/豊子愷「論語派」作品一覧
参考文献
豊子愷との出会い―あとがきに代えて