カルシウムの醫學

片瀬淡 著、人間医学社、485p、19cm

片瀬淡 著、人間医学社、485p、19cm

度会八郎、恵那健康楽園事業部、昭和56年、262ｐ、19cm

カバー（少ヤケスレくすみ）

序

敬友度会八郎君は、モラロジー精神で多年手技療法を専修されて
いたが、私の信奉する片瀬淡先生の血液酸塩基平衡学に興味をも
ち、よく私の教えを理解されて患者を治療するに精神を根基とし、
それに食養を付加して、血液を生理的アルカロージスに導きつつ、
手技或は運動療法を、水清く緑に包まれたよき環境に恵まれて実施
するのであるから、いかなる難症も好転せしむるを得る のであろう。
この道幾十年、治療師として確固不動の信念を以て、よくその目
的を達しられつつあることは誠に偉と致さねばならぬ。
凡そ病というものは生命の上に於ける不自然な生活の産物であっ
て、心身両全の道をとれば自ずと治るものである。しかるに唯物的現代医学は、心と食の面を軽視しているために真の病因を覚り得
ず、対症的療法に終始し、病は自然良能力によって癒さるべきもの
であるという根本原理を忘却して、途方もない攻撃の武器を揃え
て、毒薬の誤用、メスの濫用と、生命軽視の風潮すらあらわれ、心
あるものを恐怖せしめつつあるので 私どもはこの医学の弊害
を除き、真に生命尊重の医道を発展せしむべく、患者の日常生活中
に、不自然な心身両面の欠陥の有無を調べ、若し誤れる点あればそ
れを正し、然る上に手技療法により血液の循環をよくし、自力を高
めるべく運動法を課するならば、いかなる慢性病も、自然良能の振
作により生気を復興せしむることは不可能でない。
私は生も死も生命現象に於ける一つの変化にすぎないと思う。故
に活かす力を援助すれば、病の方向は死より生に向きが変るものと
信じている。この活かす力の本源を加勢することこそ治療の目的を
達する最大の道であって、徒らに疾患そのもののみを攻撃すべきも
のでないと考えている。
医学は、必ずこの主張に近づく日のあることを信じる。我等の同
志の有力な一人とし て、度会君の一生をかけてのこの道の研究こ
そ、人類の喜びとして、世に理解される時の来ることを確信をもっ
て期待したい。

人間医学会長
大浦孝 秋(八十七歳)