ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 著 ; 伊藤典夫, 浅倉久志 訳、早川書房、1999年3月、51・・・
初版 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方少ヤケ 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
今回、読了後に感想を整理していて気付いたのは日本での一般的な評価と自分の感想の差だった。
翻訳小説では当たり前だけど、新しい作家は何らかの評価が出るまではなかなか注目されないし、翻訳も本国での出版順とは無関係に売れそうなものから行われるため、日本に紹介された時点で既に作風や評価がだいたい定まっている例が多い。
紹介文や解説でも触れられているが、ティプトリーも日本に紹介された時点で既に有力な賞を受賞していたし、その後ゆっくり騙される間もなく女性であることが暴露され、さらにその余韻がさめやらぬうちに突然の衝撃的な死が伝えられた。このため、高齢になってデビューしたこともあって、ティプトリーという作家はある意味で完成した作家と思われているように思う。その作風はジェンダーや宇宙における生命の意味、故郷喪失感をテーマにした重厚な作品を描く作家であると。