若城希伊子、日本放送出版協会、昭和59年(1984年) 第5刷、256p 絶版、サイズ(cm): ・・・
「どんな読み方をしてもしても良いのである。長い物語を初めから終りまで読み通すのを強いられているわけではない。源氏物語は男と女の物語なのだ。物語の中に生き続けている女人たちと手を取り合うつもりで、まずそのひとりの女性の身の上話を聞いてみたらどうだろうか。 そこから光源氏の素晴らしさが顔を見せる。日本の男の立派さが、光源氏の女人たちに接する手つきの中からやまとごころが感じられるのである。 ひとりひとりの女人たちが個性豊かに自分の生を生きぬいていく姿は、それぞれに見事で、こちらに語りかけてくるものは、みな違うのである。 光源氏はその女人たちが、こもごも語り伝えようとした日本の理想の男の姿である。そして、その中に脈々として伝えられた私たちの祖先のこころは、源氏物語に触れる時、静かに蘇えってくるのである。」 (―「はじめに」より)
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