中野高行著、八木書店、2023年、392頁、A5判
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東部ユーラシアにおける〈交通〉の中で日本の古代国家はいかに形成されたのか
継体天皇の即位、白村江の戦い、高麗郡建郡、遣唐使の派遣、渤海との外交など重要な事例を〈交通〉の視点から再検証
【内容説明】
〈交通〉の機能を①政治・軍事的機能②経済的機能③思想・社会的機能④精神的機能に整理し、諸国とのネットワークの形成と国家成立の関係を描く
①政治・軍事的機能(戦争や外交をふくむ対外諸関係/交通網)
第一章で五・六世紀における東アジア世界の戦争と外交の実像を、第五章で七世紀後半の「唐・新羅戦争」前後における新羅と倭国の国制改革について考察
②経済的機能(生産/土地利用の機能分化/流通・交換・商業/分業)
第二章・第三章で西日本に構築された交易ネットワークについて、継体天皇の史的意義とあわせて詳述
③思想・社会的機能(自然界に対する人間界優位の確立/社会の緊密化)
第六章で八世紀前半の律令制国家が設置した高麗郡の様態について検討
④精神的機能(慣習/文字/仏教/法/儒学/礼)
付論1で律令制国家の胎動期における渡来系移住民(渡来人・帰化人)の諸相を整理・分析。第四章では天智朝における天皇発願寺院の創建と正史の関係を探る。付論2では『令集解』に見える明法家諸説に関する研究史を整理し、律令制国家の始動期から活躍した法律の専門家たちの史的意義と、律令受容の実相を概観。第八章では渤海国王宛慰労詔書に記された〈斗牛〉という語句の思想的背景を追求した。付論3では高校における朝鮮史教育の展望を検討する中で、ユーラシア大陸東部の交易ネットワークという視座がどのように取り扱われているのかを確認
【目次】
序章 問題の所在
一章 五・六世紀の国際関係像
付論1 渡来系移住民—普遍的価値・技術を担った人々—
二章 継体天皇と琵琶湖—淀川水系
三章 日本海沿岸諸地域と新羅・加耶
四章 天智朝創建寺院と正史
五章 唐・新羅戦争前後の新羅と倭国
六章 高麗郡建郡の背景
付論2 『令集解』の注釈書
七章 承和度遣唐使発遣と遣新羅使紀三津
八章 渤海国王宛慰労詔書の〈斗牛〉
付論3 高校における朝鮮史教育の展望—前近代を中心に—
終章 索引