種村季弘 編、河出書房新社、1989年8月、2冊、15cm
<河出文庫> (全2巻) カバー 帯付 カバーヤケ無し 上巻の帯背少色アセ 帯の両面ヤケ無 本隊さqン峰経年ヤケ 線引き無し書き込み無し保存状態並本です。
目次を見て驚いた。佐藤春夫、吉行淳之介、吉田健一、森鴎外、幸田露伴、大岡昇平など昭和、明治、大正の大物作家の競演である。そんじょそこらの怪談本とはわけが違う。
読んでみると、怪談とはいうものの、それほど怖くはない。
むしろ、昔の作家の文章を楽しみながら、良質の短編小説に引き込まれる感じだ。
全部で22編が収められているが、これは予想外の掘り出し物だ。
なかには旧仮名遣いの文章もあるが、私みたいな80過ぎの老人には全然苦にならない。
全部、読んだわけではないが面白いものもあればつまらないものもある。
中でも最初に掲げた「鯉の巴」は一番面白かった。
可愛がっていた鯉が大きくなって、鯉に着物を着せて、ついには同衾して妊娠させてしまうという発想が凄い。
小田仁次郎というひとの作品だ。
時間のある時に一遍ずつ、良質の小説の醍醐味を味わいながら楽しみたい。