遠藤寛子/箕田源二郎・装画、挿絵、筑摩書房 ちくま学芸文庫、2011(平成23)年
重版 文庫版 カバー折れ痛み有 -父・千葉桃三から算法の手ほどきを受けていた町娘あきは、ある日、観音さまに奉納された算額に誤りを見つけ声をあげた・・・。その出来事を聞き及んだ久留米藩主・有馬侯は、あきを姫君の算法指南役にしようとするが、騒動がもちあがる。上方算法に対抗心を燃やす関流の実力者・藤田貞資が、あきとおなじ年頃の、関流を学ぶ娘と競わせることを画策。はたしてその結果は・・・。安永4(1775)年に刊行された和算書『算法少女』の成立をめぐる史実をていねいに拾いながら、豊かに色づけた少年少女むけ歴史小説の名作。江戸時代、いかに和算が庶民の間に広まっていたか、それを学ぶことがいかに歓びであったかを、いきいきと描き出す。(紹介文) -附・ちくま学芸文庫版あとがき