ハーヴェイ・セイフター, ピーター・エコノミー 著 ; 鈴木主税 訳、角川書店、2002年11月、2・・・
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指揮者のいない自主運営型のオーケストラとして知られるオルフェウス室内管弦楽団。ヒエラルキー構造の代名詞のようなオーケストラ組織で、指揮者というリーダーなしに世界最高水準の演奏や聴衆の多様なニーズにこたえる創造的な活動を実現し、新しい組織形態を模索する企業や研究者の注目の的になっている。
同楽団のエグゼクティブ・ディレクターを務めた経験をもつ著者は、しかし、オルフェウスは決して「リーダー不在」ではなく、どんな組織よりもリーダーが多いのだという。そこには、個々のメンバーが音楽の解釈やプログラムづくりに自発的にかかわり、リーダーシップとその責任を共有することで、個々の才能や意欲、献身、創造性などを引き出すプロセスがあると論じる。
本書は、その「オルフェウス・プロセス」を、権限委譲、製品と品質への自己責任、役割の明確化、コンセンサスの形成といった「8つの原則」から説き明かしたものである。各解説では、楽団メンバーの声を拾いつつ、原則がいかに実践され、どんな効果を生んでいるかを検証するほか、それを企業に当てはめる5段階の「掟」や「落とし穴」を提示している。JPモルガン、リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー、サンディエゴ動物園、インテルなど多数の事例を読み解いたり、フレデリック・テイラー以来の経営管理理論の視点を盛り込んだり、膨らみのある内容が特徴的である。