小林 宏至 著、風響社、2024、348p、A5判
「宗族・客家が土楼を生み出した」という従来の発想を覆し、タテモノこそが彼らを創り出してきたのだとする、斬新な論考。
なぜこんな巨大建造物が作られたのか!
著者のこの問いかけは、「宗族・客家が土楼を生み出した」という従来の発想を覆し、タテモノこそがこうした社会集団を創り出してきたのだとする論点となり、詳細な調査による民族誌として結実した。新時代の客家論・宗族論。
目次
まえがき
序章──方法としての/成果物としての民族誌
●第一部 土楼
第一章 土楼・械闘・郷族──土楼をめぐる物語と社会人類学からの再考
第二章 客家社会と閩南文化──分水嶺に位置する土楼
第三章 宗族が造る家、家が創る宗族──円形土楼における空間の所有形態と宗族組織
第四章 福建土楼と文化表象──土楼内部における「祖堂」の記述をめぐる学術表象の分析
●第二部 親族
第五章 社会的住所としての宗族──福建省客家社会における人物呼称の事例から
第六章 テクストとしての族譜──客家社会における記録メディアとしての族譜とそのリテラシー
第七章 僑郷からの災因論──二一世紀における「典型的」な風水事例より
第八章 福建客家と複数の聖地──歴史のなかの「聖地」と記憶のなかの〈聖地〉
終章――純正律的な響き合いを描く
あとがき
参照文献
写真・図表一覧
索引