黒川 みどり、山田 智、有志舎、2020、392p.、四六判
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[紹介] 竹内好――それは戦後思想に独自の地歩を占める存在である。中国文学者である彼は、中国が絶対的他者であることへの自覚を失うことなく、日本人として中国を愛し続けた。他者であることを痛切なまでに自覚するがゆえに、日本が中国に恥じるところのないものであるかという懐疑から一生離れることはなかった。そして、同調を強いる日本社会、その社会の頂点にあって個の自立を阻む機能を有する天皇制を見すえながら、戦後日本の差別や隷従を強いる力と闘うためには「我は我だという主体の論理」を立ち上げなければならないとして論陣を張り続けていった。その思想の全体像と彼の生き方は、21世紀の今こそ再注目されなければならないだろう。
[著者プロフィール]
黒川みどり:静岡大学教員
山田 智:静岡大学教員