中谷宇吉郎 影絵・藤城清治 写真・松本政利、暮しの手帖社、昭和26、1冊
天地24.2㎝×左右18㎝ほど 「藤城さんの影絵というものを、迂闊にして今まで知らなかつたが、これはなかなか立派なものである。(中略)この「浦島太郎」は、いわば私の家蔵の品で、もともとうちの子供たちだけのためのものであつた。それをつい悪戯気を出して、文章にしてみたら、こんな美しい影絵のついた本になることになつてしまつた。文章の方はもちろん素人藝であるが、影絵は立派な藝術品である。シヤトウのような龍宮城、シバの女王のような乙姫さま、ハムレツトのような浦島さんなどなど、藤城さんの感覚がよく出ていて、非常に面白い。龍宮での歓待も、宴会ではなく、健全な戸外の遊びになつている。私の文章は、この影絵のそえものとしては、いささかじくじたるものがあるが、こういふ機会はなかなか無いから、悪びれずに版にしてもらうことにした。」(中谷宇吉郎「あとがき」より)
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