深谷和子 著、黎明書房、昭和49年、279, 12p、20cm
カバー(ヤケ)。小口ヤケ。
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まえがき
ちいさい子どもたちのための、心理治療技法の一つである「遊戯療法 (play therapy)」は、
今日、各地のクリニックや相談所で、問題児の心理治療に用いられているばかりでなく、幼稚
園や小学校でも、学級経営や集団指導に、この技法の持つ精神を生かそうとの試みが増えつつ
ある。しかしそのための適切な文献は、他の心理治療の領域にくらべ、これまできわめて少な
かったように思われる。
本書は、筆者が十数年来、東京教育大学教育相談研究施設で行なって来た遊戯療法の経験を
まとめたもので、非指示的な立場に発達心理学的ともいえる観点を取り入れた、折衷的な遊戯
療法の理論と実際を述べてある。遊戯療法をマスターしようとしている人々にはむろん、すで
に現場でこの技法を用いている人々が技法の熟練度を高めようとする際にも、何かのかたちで
役立つことを願ってこれをまとめた。
本書の構成は三部よりなる。 第Ⅰ部は、はじめて遊戯療法を試みようとする人たちの入門ュ
1スとして、第Ⅱ部は、すでに一応の経験を持つセラピストたちがかかえているであろう種々
の問題意識を、多少とも整理したり、または一層深めたりするのに役立つことを企図してい
る。そして第Ⅲ部は、筆者が折に触れて語っている持論、すなわち、遊戯療法が真に科学的な
心理治療の技法となりうるためには、対象(ある特定の子どもの示す症状、原因、性格特性、環境、その他の個人的な条件)に合わせた綿密な計算と、それによる技法の修正された適用が必要であることに、アプローチしようとした部分である。この部分は、今後各臨床領域での、治療的経験
からえられた所産によって、五倍にも一〇倍にも、拡大させていかなければならないと考え
る。筆者が十数年前、現東京教育大学の高野清純氏や山梨大学の古屋健治氏らによって、はじ
めて遊戯療法の手ほどきを受けた頃、まだ遊戯療法はわが国でようやく緒についたばかりであ
った。現在では、多くのクリニカル・サイコロジストによって対象と技法の結びつきが、熱心
にさぐられている。いつの日か、多くの人々の手によって、この部分がより大きく精密に展開
されることを願っている。
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