PAUL VALÉRY CONTEMPORAIN　ACTES ET COLLOQUES N° 12

￥3,000

• 出版社 EDITIONS KLINCKSIECK
• 刊行年 1974年
• ページ数 404ページ
• 解説 フランス語。線引き、書き込みあり。経年のシミ、汚れあり。本書は、詩人・思想家ポール・ヴァレリーの思想と詩作を多角的に検討した学術論集であり、ヴァレリーの現代的意義を哲学・文学・言語学の観点から照射しています。全体は二部構成からなり、第一部では「ポール・ヴァレリーと現代思想」と題して、ヴァレリーの哲学的立場、詩的言語の問題、形式と象徴の探求に関する論考が収められています。
  
  第一部A章「方向づけ」では、ヴァレリーにおける「モダン」の概念や「自我の遊戯」、美学の理論と自律性の問題など、彼の根本的な思想枠組みが分析されます。続くB章「言語の問題」では、詩的言語の構造、意味の生成、〈言葉〉と〈沈黙〉の緊張関係といった、彼の詩論・言語観に焦点が当てられています。C章「形象と形式」では、作品に現れる象徴構造や形式の機能に関する個別的かつ深い読解が展開され、「ナルシスの消失」や『若きパルク』など、ヴァレリー作品をめぐる象徴分析が試みられています。
  
  第二部「ヴァレリーの現前」では、詩人としてのヴァレリーの実際の作品や未完の構想、さらには思想の受容と継承の在り方に焦点をあてた研究報告がまとめられています。未完の『手の論考』に関する考察から、『モン・ファウスト』や『若きパルク』における形式と主題の分析、また『カイエ』に基づく詩作品の再解釈に至るまで、多様な視点からヴァレリーの創作と思想の全体像に迫っています。
  
  本書はヴァレリー研究における重要な知見を集めた一冊であり、詩・哲学・言語の交差点に位置する彼の仕事の豊かさを示す貴重な資料となっています。彼の作品や思想に関心を持つ読者、あるいはフランス文学・詩学・現代思想に携わる研究者にとって、必携の論集といえるでしょう。