吉野俊彦、PHP研究所、昭和53年(1978年)・昭和54年(1979年) 再刷、サイズ(cm):・・・
森鴎外は長年にわたって私の「敬愛」する文豪である。まず第一に、鴎外のあの膨大な全作品は、陸軍軍医という形のサラリーマン生活を続ける余暇に執筆された。この意味で、酔生夢死の平凡な生活に満足できなサラリーマンにとって、鴎外こそ仰ぎ見る高い山である。もし鴎外が文学を専門とする生活を送っていたとしたならば、少なくとも私に関する限り、これだ鴎外を「敬愛」する気持ちにはならなかったであろう。──「まえがき」より
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