「男色鑑 」の検索結果

3件

３版　 カバーカバー背少ヤケ　カバー両面ヤケ無し　本体三方経年ヤケ　線引き無し　書き込み無し　保存状態良好です。

文化庁の初代長官も務めたという、今日出海の短編小説を八篇収録。ここで終わり？と思ってしまうほど短く感じる話も。
表題作は昭和25年の直木賞受賞作。中身の方は伴わないが、人並み外れた大頭でそこいらの帽子には収まらない男が、ひょんなことからやはり大頭で知られた大正天皇の帽子を賜る話。
軽やかな話も多いが、終わりの二篇は、いずれも作者の従軍体験が元になっている。
「徴用記者」は、石坂洋次郎、尾崎士郎らと共にマニラに派遣された時のエピソード。
この時はまだ呑気なものだが、続く「孤立の影」は、フィリピンのジャングルの中を数ヶ月も彷徨う、まさに極限体験。敵兵に遭遇しても戦う気力もなく、捕虜となった米兵から日本降伏の噂を聞かされる時、心に去来するものとは。。
表題作は例外だが、全体的には大学教員、役所勤めなど、作者の実体験が元になっていると思われる作品が多く、文化人を取り巻く当時の空気感が味わえる。