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日本の古本屋メールマガジン その66 4月25日号

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☆INDEX☆
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 1. 自著を語る その31『ボマルツォのどんぐり』
 2. イベントのお知らせ
 3. 日本の古本屋即売展情報

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大型連休も近づき、各地で古書展が開催されます。京都勧業会館で
開催される「春の大即売会」( http://www.kyoto-kosho.jp/ )は
屋内開催では日本最大規模となるもの。関西圏から45店が参加する
ビック古書展です。一日がかりでたっぷりお楽しみ下さい。
一方、東京の谷中、根津を中心に開催される恒例の一箱古本市
( http://sbs.yanesen.org/ )は今年で六回目。こちらは町歩きを
楽しみながら古本と出会える人気のイベントです。
連休の一日、古本散歩にどうぞお出かけ下さい。
今月の自著を語るは読書エッセイ『ポマルツォのどんぐり』
(扉野良人著)。戦争前夜のモダニズム詩人=永田助太郎から
はじまるこの一冊は、寺島珠雄、田畑修一郎、加能作次郎、
川崎長太郎と続きます。

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■ボマルツォのどんぐり■
                         扉野 良人

 扉野良人著『ボマルツォのどんぐり』はおよそ十四年にわたる雑
多な文章が収められています。だから文体の統一もなく、一人称は
「僕」「ぼく」「私」「わたし」と文体を決める枠のように遷移し
ているのが、そのときどき書いている当人を思いだすようで微苦笑
してしまいました。
 大半が同人誌、ミニコミ誌に発表したもので、いちばん古いのが
大学生のころ『虚無思想研究』に書いた「辻潤と浅草」です。校正
紙がでても、これはなにも手を加えられないなぁと、まるで他人が
書いたものを眺める思いがしました。実家に帰省中、まだ片付けら
れずのこっていた子供部屋で書いたのを覚えています。奇妙な子供
の作文といってもいいでしょう。
 わたしの書くものは引用がやたら多い。好きな作家の文章を並べ
て、地の文章はそれを引きたてると同時、相手の文体を取りこむよ
うに、わたしの文章はそれに依存しています。とりわけ川崎長太郎
さんや田中小実昌さんの文体は、貫かれた批評性さえ感じるので、
引用箇所ではグッと締まるのです。
 最終章の長太郎さん、小実昌さんはじめ作家の郷里を訪ねる紀行
文は、文学散歩ならぬ引用による文体散歩と言えるかもしれません。
それに作家を育んだ土地は、彼らの文体になにかしら作用を与えた
空気が、今もなお漂っているものです。

 ところで、本書を編集してくださった中川六平さんと出会ったの
は十五年以上前にもなります。東京で学生をしていたころ『思想の
科学』の編集部によく遊びに行き、編集のお手伝いをしていました。
浅草寺の伝法院を借りて『思想の科学』のイベントがあったとき、
六平さんのことはハッキリ意識しました。打ちあげで、今は亡い思
想の科学社社長の上野博正さんが裏声を捻り謡曲を披露したのを、
六平さんは、こうも神妙に聞かされちゃたまんねぇよ、という顔つ
きで聞いていたの覚えています。神妙に聞く側にいたわたしは、こ
のおっさんは失礼やな、と思った。その六平さんが「おいジン(わ
たしの本名)、お前の本つくってやる」と会う度に言うのです。書
くことに自信もなく断りつづけました。それに実家の寺を、京都に
来るときの定宿とし、わたしの母を「ママ」と呼ぶのにもうんざり
としてしまうのです。それが数年前から、本を作ろうと言わず「ゆ
っくりやれや」と声のかけ方がかわり、その変化にどういうわけか
本を出したい気持ちに動かされた。六平さんのなかの変化もあった
のでしょうか。いろいろあったけれど、六平さんがそうやって目を
かけつづけてくださったこと、不思議な人だなぁと、いまは嬉しく
思います。

 収録の「ボマルツォのどんぐり」は十年前にした旅行の記録であ
り、記憶の底に忘れかけた風景をもういちど甦らせてくれる私的な
エッセイです。てんでバラバラな内容を、一冊にまとめるのに「ボ
マルツォ」「どんぐり」に深い意味はないけれど、響きとして豊饒
なイメージがありました。
 タイトルが決まって、装幀をお願いした空中線書局の間奈美子さ
んには出来ればボマルツォの写真を使ってほしいと依頼し、六平さ
んの配慮もあり、なんとA・P・ド・マンディアルグ著、澁澤龍彦
訳『ボマルツォの怪物』(大和書房/1979年)に挿された写真をそ
のまま表紙に配置することが叶った。
 表紙の、どんぐりと松ぼっくりを形どる石柱が交互に並んだ写真
は小川熙さんの撮影になります。1970年10月27日、澁澤龍彦、龍子
夫妻をボマルツォに案内したのは、当時ローマ在住だった小川さん
でした。したがって写真のフレームを外れる背景のどこかには、ど
んぐりを拾う澁澤さんがいるはず。間さんはボマルツォを遠望する
ような、トリコロールの装幀で本書を飾ってくれました。

 人をたずね、本をたずね、文章をたずね、言葉をたずねして書い
てきたつもりのことが、一冊の本となってみると、ほんとうは自分
の方からたずねているのではなく、向こうからたずねてきたのでは
と思え、ほとんど他力本願のように、それは今までにない新鮮な心
持ちでわたしにおとずれています。

□□ボマルツォのどんぐり□□

著者:扉野 良人
発行:晶文社( http://www.shobunsha.co.jp/ )
   2008年4月発行
定価:1,890円(本体:1,800円)
ISBN:978-4-7949-6724-4
判型:四六判
頁数:228頁
装幀:間奈美子 [空中線書局]/写真=小川熙

◇◆扉野 良人(とびらの・よしと)◆◇

1971年京都市生まれ。書物雑誌『SUMUS』同人。
『CABIN』、『modernjuice』などに寄稿。書評のメルマガ
「全著快読 梅崎春生を読む」連載はこの4月号(vol.357)
が最終回。
本職は僧侶です。

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◇ 第12回 青空古本掘り出し市 ◇
◆   ~春の古本まつり~    ◆
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会場には早稲田の古書店を中心に、文学・人文学科・歴史・学術書・
美術・全集・叢書・文庫等、様々な分野の古書が出品されます。
ぜひ、この機会に早稲田に足をお運び頂き、お客様自身で沢山の本の
中から新たな出会いを見つけ出して下さい。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。

日にち:5月19日(月)-5月24日(土)
時間 :午前10時~午後7時(最終日は午後5時終了です)
会場 :早稲田大学構内正門前(大隈講堂向かい)
お問い合わせ先:金峯堂書店 メール: waseda-1@kinpoudou.com
        会期中  080-3275-7103

会場にて3千円以上お買い上げのお客様毎日先着15名様に、
アトム通貨(地域通貨)160馬力をプレゼントいたします。

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◇としょかんのこしょてん VOL.12◇
◆ 佐野繁次郎の装幀本      ◆
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千代田区立図書館では昨年のリニューアルの際、
神保町の古書店街と連携した展示スペースを設けました。
各書店が、初版本、手塚治虫、写真史、辞書、和本、映画パンフなど
得意とするテーマを月代わりで展示しております。
5月の展示は「佐野繁次郎の装幀本」となります。
本展示は「アンダーグラウンド・ブックカフェ VOL.11」
(6月1-3日 東京古書会館)の併催展示
「佐野繁次郎の装幀モダニズム」展(同日程)のプレ展示となります。
本展の企画・展示品は「佐野繁次郎の装幀モダニズム」の企画者
でもある林哲夫氏によるものです。
小さなスペースですが、サノシゲのエキスいっぱいの展示をぜひご覧下さい。

会期:5月1日(木)~6月4日(水)
会場:千代田区立図書館

http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/

「本の街・神田神保町」のポータルサイト
【BOOK TOWN じんぼう】http://jimbou.info

━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━━

4月~6月の即売展情報
⇒ http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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  次回は2008年5月下旬頃発行です。お楽しみに!
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全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,300店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその66 2008.4.25

【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
    東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
    E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
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【発行者】
    広報部:内堀弘
    TKI:岩森正文

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日本の古本屋メールマガジン その65 3月25日号

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☆INDEX☆
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 1. 自著を語る その30『足穂拾遺物語』
 2. イベントのお知らせ
 3. 日本の古本屋即売展情報

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インターネット「日本の古本屋」をご利用いただきましてありがと
うございます。新しい季節を迎え、全古書連加盟の古書店ではデザ
インを一新した「古書買入」のポスター
( http://www.kosho.ne.jp/melma/images/2008poster.jpg )
を貼りだしております。ご蔵書の整理の際にはどうぞお近くの全古
書連加盟店にご相談下さい。
昨年、古書即売会に稲垣足穂が関西学院在学中に執筆した学友会誌
が姿を現し話題となりました。それも含めて、これまで知られてこ
なかった足穂の逸文を丁寧に蒐集した『足穂拾遺物語』(青土社)
が刊行となりました。今月の「自著を語る」はこの本の編集を担当
された郡淳一郎さんにお願いしました。

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■足穂拾遺物語
The Uncollected Writings of Inaguaqui Taroupho■

郡 淳一郎

 稲垣足穂が初出誌紙に発表したまま忘れ去られ、これまで存在が
未確認だった101+2篇を初めて書物に編むことの重責に苦しみ
続けた仕事だった。この30年間に出版された数多のチンケな書籍・
ムック・文庫本のおかげで足穂本は極限までインフレ化し、チャラ
チャラしたキャラクター商品に貶められてしまった。判ったことに
され切り、高を括られ切った稲垣足穂を甦らせ、もう一度貴重な存
在にするために、何が何でもカッコイイ本を作らなければならなか
った。伊達得夫・北川幸比古の『ヰタ・マキニカリス』『全集』、
川仁宏・萩原幸子の『大全』、高橋康雄・まりのるうにいの『多留
保集』等々の、世界秘密を封じ込めた魔法書のような、ミュータン
トかフリークスのような異形さとどのようにか釣り合う本にしたか
った。願わくは今日までの足穂本の歴史を締め括り、仕切り直し、
再起動したかった。

 僕らがこの本を作ることは他人に作らせないということで、この
ように作ることは他のすべての可能性を殺すことだから、僕らのや
り方は間違っていないか、本当にこれでよいのかと自問自答し続け
た。ダサい本を作ったら足穂の「死後の生活」の息の根が止まって
しまうと怯え続け、自分にとっていちばん大切なものを自分はこん
なに粗雑にしか扱えないという屈辱、触れたものすべてを泥に変え
てしまうこの手を離した方が本、足穂さん、スタッフ、協力者の誰
にとっても幸いだという苦痛に、鉄棒にぶら下がっている指から力
が抜けるように何度も手が離れかけ、でも手放せなかった。ここで
も逃げたら今度こそ本当に、もう本の世界に戻れない。自分には本
しかないのだ。

 高橋信行が10年がかりで初出誌を蒐集し、解題を調べられるだ
け調べ、考えられるだけ考え、書けるだけ書き、直せるだけ直し、
萩原玲子がマイクロフィッシュの潰れきった正字正かな総ルビの原
本から入力し、高橋孝次が先の見えない垂直の絶壁を一字ずつ攀じ
登るように校訂し、木村カナがいつまでも増殖し変容し続けるゲラ
の赤字をその度に校正し、前田年昭がQuarkのバグや拡張新字体を
総当たりで手で拾い、羽良多平吉が『遊 抱影・足穂追悼増刊』以
来の総決算としてデザインした、それぞれの仕事を無にするわけに
いかなかった。自分が企画だけ通して版元を退社してしまって以後、
皆、すべての経費を持ち出しでこの仕事に取り組んでいるのだ。会
社というバック、経済という受け皿なしに、志と信頼関係だけで本
が作れるかという苛酷な人体実験をスタッフ全員に強いている思い
だった。筑摩版『全集』を収録作品・編集方針の両面から批判的に
継承しようとする本に数々の資料を提供し序文を寄せて下さった萩
原幸子さん、素直に単著として作れば本体4800円×初刷150
0部の一割をお支払いできる印税をその半分以下に削減する複雑な
構成を快諾し、足穂さんが遠距離恋愛中の志代さんに送った写真を
初めて公開して下さった稲垣都さんの御厚意にも報いたかった。

 そもそも一編集者風情に、このように仕事を抱え込み、延々と停
滞させ、そのことを思い悩む資格があるかと恐れ続けた。映画にお
けるゴダールやMADムービー、音楽におけるサンプリングやリミ
ックスに遥かに先駆けて文学に編集を導入した足穂さんの本は編集
で作っていい、作るべきだと信じていたけれども、その編集を到底
一人で担いきれず、諸要素をスタッフ全員に手当たり次第に分散し
て背負わせ、その成果を収奪することを繰り返す他なかった。僕ら
は世にも人にも魁けてバンドワークとして本を作っているのだ、楽
曲とアレンジと演奏とレコーディングとミキシングがジャストの地
点を一緒に探求して実現しよう、映画のエンドロールやCDのライ
ナーのようにスタッフ全員がクレジットされない知恵遅れで民度低
すぎの出版をこの仕事でようやく他メディアに追い付かせるのだ、
金より大事なものがあることをリスク管理に汲々として現実を縮減
し続ける会社員(とその志望者)どもに見せつけてやろうぜ、そう
自分とスタッフに言い聞かせ続けるしかなかった。無理をしたし、
させた。その度に、自らの仕事の掛け替えない稀少さと重要さを正
当に信じて書き続け、編集し続けた足穂さんの孤独と剛毅に思いが
帰っていった。

 最高のチームが組めたと思う。意識できるだけの文脈はここに集
約した。足穂という場で全ては緊密にリンクした。一匹狼だか、狂
犬だか、はぐれパンダだか、社会やら世間やらと相容れず協調性ゼ
ロのデイドリーム・ビリーヴァーでロータス・イーターで片端者た
ちが、各自の抜きん出た特殊技能と各々これだけは死守したい出版
への希望を持ち寄って、この本を作った。稲垣足穂の本の歴史は彼
に夢を託した人々の歴史でもなかったか。そして足穂を心から敬愛
する読者にとって、この本はけして上手くゆかない人生を凌いで行
くための杖になるのだから、いい加減なことはできない。ガーリー
でチープな生活雑貨とおやじのシブいホビーに書物が落ち込んでい
る季節に、キリッとしたボーイッシュな本を作りたかった。足穂さ
んの本なのだから飽くまでオシャレで、アート系で、アグレッシヴ
で、冒険的で、徹底的に作りたかった。ネット、ワープロ、パソコ
ン環境で出来たフワフワ、ドロドロと流動し続けるデータをどうし
たら決定的な一冊の書物に凝固させられるか。ネットが踏襲し拡張
した編集という機能を書物に奪い返したかった。一歩も引けない。
ここで日和ったら、かつて素晴らしかった足穂さんの本と編集と出
版の歴史がグズグズに後退してしまう。少しでも先に進まなければ、
いま出版をやってる意味がない。

 全員が人生のある時間を投入してしまった労苦の固まりを、だか
らこそ軽やかに手放したかった。なんとか筋を通せただろうか。か
ろうじてフェアネスを貫けただろうか。懐かしさと新しさと驚きと
に満ちた、トランプの一枚のカードのように天地無用でリヴァーシ
ブルで裏のある、書物という薄板界の凝縮力をもう一度告知する、
挫折と絶望を何重にも折り込んで鍛え上げた夢のような、中学生男
子の朝起ちのように鋭く硬く緊張した本にできただろうか。判らな
い。でも、僕らはこのように『足穂拾遺物語』(言うまでもなく、
足穂を拾遺する物語の意だ)を作った。このようにしか作れなかっ
た。僕らの仕事の全部はページに印刷してある。

□□足穂拾遺物語
     The Uncollected Writings of Inaguaqui Taroupho□□

著者:稲垣足穂 著作権継承者:稲垣都
編者:高橋信行 校訂+編集協力:高橋孝次 序文:萩原幸子
解題:高橋信行・高橋孝次・小野高裕・大崎啓造・金光寛峯
入力:萩原玲子 校正:木村カナ 組版校正:前田年昭
書容設計:羽良多平吉

発行:青土社
( http://www.seidosha.co.jp/index.php?%C2%AD%CA%E6%BD%A6%B0%E4%CA%AA%B8%EC )
   2008年3月発行
定価:5,040円(本体:4,800円)
ISBN:978-4-7917-6341-2
判型:四六判
頁数:456頁

◇◆郡 淳一郎(こおり・じゅんいちろう)◆◇

オルタナ編集者、近畿大学四谷アート・ステュディウム講師。
( http://artstudium.org/kouza_workshop.htm#hensyu )
1966年、名古屋市生まれ。編集書に、
稲垣足穂『足穂映画論 The Cinematic Writings of Taruho
Inagaki』(フィルムアート社)、
堀潤之訳注『ゴダール 映画史 テクスト』(愛育社)、
松本圭二『詩篇アマータイム』(思潮社)、
矢川澄子『いづくへか』(筑摩書房)、
鈴木一誌ほか編『知恵蔵裁判全記録』、
吉田アミ『文化系女子叢書1 サマースプリング』(以上、太田出版)、
武村知子『日蝕狩り ブリクサ・バーゲルト飛廻双六』
『ユリイカ臨時増刊 総特集稲垣足穂』(以上、青土社)など。

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◇神保町さくらみちフェスティバル◇
◆   ~春の古本まつり~    ◆
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恒例の”千代田さくらまつり”に併せて開催される神保町さくらみち
フェスティバル。今年も神保町古書店街をあげて春の廉価古本ワゴン
セールを開催いたします。神保町一丁目~二丁目の舗道に賑々しくワ
ゴンが立ち並びます。古本屋だけでなく、新刊書店、飲食店、小物店
も出店いたします。九段の桜をお花見がてら、ぜひお運び下さい!

日にち:3月28日(金)-3月30日(日)
時間 :午前11時~午後6時(雨天中止)
会場 :神田神保町古書店街 じんぼうエリア

併催イベント
◆DOCUMENTARY 和本 -WAHON- 無料上映会
 日にち:3月30日(日)
 時間 :開場午後1時 上映午後1時30分~
 会場 :東京古書会館 地下ホール[千代田区神田小川町3-22] 
     入場無料 上映時間約90分

◆トークイベント「乱歩は和本のコレクター!?」
 日にち:3月30日(日)
 時間 :午後3時20分~
 出演 :平井憲太郎氏・・・江戸川乱歩氏ご令孫
     渡辺憲司氏 ・・・立教大学文学部教授
 会場 :東京古書会館 地下ホール[千代田区神田小川町3-22]
     入場無料 約40分

詳しくは下記サイトをご覧下さい。
⇒ http://jimbou.info/news/sakura_2008.html

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◇  春の短期講座 和本入門   ◇
◆~千年生きる書物・江戸の本屋~◆
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和本とは、有史以来明治初期まで日本で作成された書物全体をいい
ます。この1200年で日本人の書物観が醸成されました。それは
書物を長く保存し、伝える工夫と努力をした歴史でもあります。
講座では、実物の和本を見ながら、和本の様式や装丁から読者の様
相までを幅広く知ることで、日本人と書物の深い関係を理解してい
きます。

日にち:4月9日、4月23日、5月14日 水曜日 全3回
時間 :午後3時30分~午後5時30分
会場 :NHK文化センター
講師 :橋口侯之介氏(神田 誠心堂書店店主)
受講料:会員8,505円 一般10,080円

詳しくは下記サイトをご覧下さい。
⇒ http://www.nhk-cul.co.jp/school/aoyama/

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◇古文書塾てらこや特別講座(短期)◇
◆ ~古書店主取って置きの話~   ◆
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表に立つことをあまりお好みでない三人の古書店主に敢えてお出で
頂き、日頃の薀蓄をお話いただきます。古書店には立ち寄るけれど、
店主にはどうも声を掛けにくい、本当は聞いてみたいことがあるの
だが-、こんなお気持ちの方は、古書店を身近に感じていただける
のではないでしょうか。

日にち:4月14・28日、5月19日、6月2・16日
    月曜日 全5回
時間 :午後7時~午後8時30分
会場 :小学館アカデミー神保町校
講師 :纐纈公夫氏 (神田 大屋書房店主)
    橋口侯之介氏(神田 誠心堂書店店主)
    山本實氏  (神田 山本書店店主)
受講料:13,650円

詳しくは下記サイトをご覧下さい。
⇒ http://www.komonjo.jp

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◇    古書の見極め      ◇
◆  ~神保町古書店探訪~    ◆
└───────────────┘

日本最大の古書オークション「明治古典会七夕大入札会」を前に開
かれる下見会を、専門家の案内で歩きます。古書の価値の見極め方
やお店の選び方、また世界からも注目される神保町のこれからを解
説します。

日にち:7月5日(土)
時間 :午前10時30分~午後12時30分
講師 :中野智之氏(神田 中野書店)
お問い合わせ先:NHK文化センター
        青山教室 03-3475-1151
        さいたまアリーナ教室 048-600-0091

━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━━

3月~6月の即売展情報
⇒ http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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  次回は2008年4月下旬頃発行です。お楽しみに!
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日本の古本屋メールマガジンその65 2008.3.25

【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
    東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
    E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
    URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
    広報部:内堀弘
    TKI:岩森正文

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日本の古本屋メールマガジン その64 2月25日号

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 1. 自著を語る その29『編集者 国木田独歩の時代』
 2. 日本の古本屋即売展情報

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春の気配が感じられるようになってまいりました。
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古書店や即売会の一角でよく古い雑誌を見かけます。
明治、大正時代の雑誌がこんなに残っているものかと驚きますが、
それだけ読まれたということなのでしょう。
あの時代、写真の多いグラフ雑誌は社会や世相をリアルタイムに
伝えるものでした。黒岩比佐子さんの『編集者 国木田独歩の時代』
(角川選書)を読んでいると、そうか独歩はこんなにグラフ雑誌を
手がけたのかと驚きます。古書店や即売会で見かける古い雑誌も、
なるほどこれは遠い時代の破片なのかもしれません。

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■編集者 国木田独歩の時代■

                        黒岩 比佐子

 歴史の中には埋もれている事実がたくさんある。偶然、ジグゾー
パズルのピースを一つ手にすると、そこから完成図を描き出したく
なる–。昨年12月に上梓した『編集者 国木田独歩の時代』は、
編集者であり、ジャーナリストとしての国木田独歩を描いたものだ。

 独歩といえば、『武蔵野』を書いた自然主義作家、という答えが
返ってくるのが普通だろう。けれども、37年足らずの短い生涯の
うち、彼が作家として執筆していたのは、実はわずかな期間にすぎ
ない。独歩は20世紀初頭の日露戦争が始まる一年前、矢野龍溪に
招聘されて、日本初の本格的なグラフ誌を創刊し、有能な編集者と
して手腕をふるっていた。その後、自ら独歩社を設立し、出版事業
に取り組む。だが、独歩社は1907(明治40)年に破産。独歩
は翌年、肺結核で亡くなった。今年はちょうど国木田独歩没後百年
に当たる。

 独歩が1903年に創刊した『東洋画報』というグラフ誌は、
『近事画報』を経て、戦争中は『戦時画報』と改題する。ラジオも
テレビもない時代に、日露戦争を写真と絵画でビジュアルに伝える
『戦時画報』は人気を博した。博文館などが競合誌を創刊すると、
独歩はサイズの大判化や写真重視の方針を打ち出し、斬新なデザイ
ンで差別化を図る。さらに、新しいコンセプトの雑誌を次々に創刊
し、一時は12誌を同時に発行するまでにいたった。

 その一誌は、現存する女性誌では日本で最も長い歴史をもつ『婦
人画報』であり、ほかにも、スポーツ情報誌の先駆けともいえる
『遊楽雑誌』、ビジネス情報をビジュアルに見せる『実業画報』、
当時のアイドルだった美人芸妓の写真を満載した『美観画報』など、
ユニークなものが多い。だが、こうした事実は、意外にもほとんど
知られていない。

 それだけでも驚かずにはいられなかったが、ここで一つの謎にぶ
つかった。それは、独歩の妻の国木田治子が書いた「破産」という
記録小説に出てくる女写真師である。「破産」の20人以上の登場
人物は仮名で書かれているが、モデルがすべて実在することが判明
した。ところが、この女写真師だけはモデルが不明なのだ。しかも、
「破産」を除けば、独歩の周囲の人々の回想には、彼女についての
記述がまったく見当たらない。

 日露戦争の時代に、写真館ではなく雑誌社の写真部に所属して、
事件現場へ出向いて写真を撮っていた女性がいたとすれば、“日本
初の女性報道写真家”と呼んでもいいだろう。しかも、明治期に女
性を写真部員として雇ったこと自体、独歩の先見性を示している。
なんとかその「女写真師」を見つけたい–。それが、大きな課題と
なった。

 とはいえ、本名すらわからない百年前の女性を探し出すというの
は、雲をつかむような話である。半年ほど探索を続けたが、何の成
果もなかった。九割九分まであきらめたとき、奇跡のようなことが
起こり、失われていたジグゾーパズルのピースが見事にピタッとは
まった。ついに謎の女写真師の本名が判明し、ご遺族とも連絡がと
れて、彼女の孫に当たる方々にお会いすることができたのだ。その
ときの感激と達成感は、いまでも忘れられない。

 ふり返ってみると、誰よりも私自身が、このパズルを楽しんでい
た気がする。ここまで夢中になれたのは、やはり主人公の国木田独
歩という人物の魅力だろう。友だち思いの熱血漢で、短気で癇癪持
ちだが、涙もろい人情家で、座談の名手で、誰からも愛された独歩。
彼のことを知れば知るほど、どんどん惹きつけられていった。拙著
を読んで独歩を好きになっていただけたら、これほどうれしいこと
はない。この本を書けて本当に幸せだった。

______________________________

□□編集者 国木田独歩の時代□□

著者:黒岩 比佐子
発行:角川学芸出版( http://www.kadokawagakugei.com/ )
   2007年12月発行
定価:1,785円(本体:1,700円)
ISBN:978-4-04-703417-4
判型:四六判
頁数:346,4頁

◇◆黒岩 比佐子(くろいわ・ひさこ)◆◇

ノンフィクションライター。1958年、東京生まれ。
慶應義塾大学文学部卒業後、PR会社勤務を経てフリーに。
『「食道楽」の人 村井弦斎』(岩波書店)で第26回サントリー
学芸賞受賞。
著書に『音のない記憶–ろうあの天才写真家 井上孝治の生涯』
(文藝春秋)、『伝書鳩–もうひとつのIT』『日露戦争 勝利
のあとの誤算』『食育のススメ』(以上、文春新書)、
『編集者 国木田独歩の時代』(角川学芸出版)がある。
ブログ「古書の森日記」:http://blog.livedoor.jp/hisako9618/

━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━━

2月~5月の即売展情報
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日本の古本屋メールマガジンその64 2008.2.25

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    TKI:岩森正文

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日本の古本屋メールマガジン その63 1月25日号

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☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 1. 読者アンケート「今年の収穫・この一冊」
 2. 日本の古本屋即売展情報

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あけましておめでとうございます。
遅くなりましたが新年のご挨拶を申し上げます。
インターネット「日本の古本屋」もリニューアルから一年が経ち、
おかげさまで皆様から一層のご利用をいただけるようになりました。
本年もご愛顧いただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年末に「古本・今年の収穫」をお尋ねしましたところ、
思いがけずたくさんのご返答をいただきました。 お礼を申し上げます。
その中からほんの一部ですが、紹介をさせていただきます。
全国各地の古書店が新入荷の品を毎日更新しております。
お探しの一冊、思いがけない一冊、懐かしい一冊に出会えますよう、
インターネット「日本の古本屋」は本年も皆様のお役に立ちたいと
思います。どうぞご活用ください。

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【読者アンケート「今年の収穫・この一冊」】
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[書名]   臍に吹く風
[著者名]  木山捷平
[理由]   ほしかった。           
[性別]   男性
[年齢]   18
[都道府県] 鳥取
————————————————————
[書名]   『暮しの手帖』第1世紀揃
[著者名]  
[理由]   母が『暮しの手帖』を購読していたので、子供の頃か
      らなじみのある雑誌でした。名物編集長花森安治のエ
      ッセイは、子供でも読める平易な文章で、本当にその
      政治的・社会的メッセージについて理解していたかど
      うかはともかく、今でも記憶に残っています。今アメ
      リカの図書館で、日本研究専門の司書として働いてい
      ますが、『暮しの手帖』第1世紀は、どうしても所蔵
      したい資料でした。母が古いバック・ナンバーを寄贈
      してくれることになっているのですが、母が保存して
      いるのは第2世紀分からなので、なんとか第1世紀分
      を入手したいと考えていました。     
[性別]   女性
[年齢]   
[都道府県] 
————————————————————
[書名]   The Century Dictionary
      :An Encyclopedic lexicon of the English language
[著者名]  William Dwight Whitney
[理由]   OEDが刊行されるまでは世界最大の英語辞典で、約
      100年前に発行された古い辞典ですが、副題に、En
      cy- clopedicとありますように、事典と辞典を兼ね備
      えており、今なお利用価値があります(特に18・1
      9世紀の文献を読む場合)。現職時代には購入する余
      裕がなく、退職後12年にして漸く入手することがで
      き、その充実した内容と堂々とした造本(名著普及会
      刊、覆刻版)に感動しました。現在、勉強している英
      語史・英語語源学に大いに活用しようと思います。
[性別]   男性
[年齢]   72
[都道府県] 北海道
————————————————————
[書名]   雨潤会要録
[著者名]  
[理由]   映画史文献の中でも「東京に於る活動写真」は、とり
      わけ稀本の一冊だが、この本の出版背景を知ることが
      出来るのが「雨潤会要録」である。この書物の存在を
      師が、現物を前にして教えて下さったのは、もう25
      年も前のことだが、ようやくにして、つまり四半世紀
      を経て私も入手することが出来た。瞼に焼き付いてい
      た書影が、目の前の現実となり、故人となった師のあ
      りがたさを改めて思った次第である。   
[性別]   男性
[年齢]   53
[都道府県] 東京
————————————————————
[書名]   瀬戸内少年野球団
[著者名]  阿久悠
[理由]   インターネットをやらない友人に頼まれ安請け合いし
      たところ、阿久さんが亡くなられた為どこにも無く発
      売元にも絶版でありませんでしたので途方にくれあき
      らめかけた時「日本の古本屋」さんに3冊だけ有るこ
      とがわかりたいへんありがたかったのが昨日のことの
      ように思い出されます。ありがとうございました。  
[性別]   女性
[年齢]   54
[都道府県] 長野
————————————————————
[書名]   戦争拒否 11人の日本人
[著者名]  山村基毅
[理由]   専守防衛のはずの日本の国が極東とはとてもいえない
      イラクに自衛隊を派遣し、戦争で日本人が死ぬことが
      再び起こりうる時代になった。徴兵制の復活を口走る
      人気知事がいる一方で、「戦争になれば逃げればいい
      さ」とほざく若者がいる現在の日本。戦前の日本で実
      際に戦争から『逃げた』人がその後どのやうな人生を
      送らざるをえなかったのかを記したこの本は私に大き
      なショックを与えた。   
[性別]   男性
[年齢]   65
[都道府県] 山梨
————————————————————
[書名]   東成郡史(復刻版ではない)
[著者名]  大阪府東成郡役所
[理由]   私が住んでいる大阪市の歴史の本を集めているのです
      が、現在の大阪市は大正14年に市周辺部の東成郡、
      西成郡を合併し出来ました。その東成郡の歴史と郡市
      発売当時の郡内の町の様子が、この本には事細かに書
      かれております(郵便ポストの設置してある場所迄)
      この東成郡史を手に入れる前に、西成郡史(復刻版で
      はない)を手に入れておりこの東成郡史を探しており
      ました。これで近代大阪市の歴史と成立がよく分かる
      様になりました。この本は私の数ある古書の中でも貴
      重な1冊となりました。
[性別]   男性
[年齢]   50
[都道府県] 大阪
————————————————————
[書名]   ユダの弁護人
[著者名]  ワルター・イェンス
[理由]   昨年翻訳された『ユダの福音書』が話題になったが、
      ユダを巡る話題を荒井献氏の『ユダとは誰か』『ユダ
      のいる風景』で読んだところ、過去の話題作として紹
      介されていた標記の書籍をどうしても手元におきたく
      て探し回っていた。1980年発行で入手困難かと思
      われたが、インターネット社会の便利さで、やっとの
      ことで入手。ユダを聖人に列すべしとの思いが、良く
      伝わる作品であった。しかし、発行時での定価980
      円が6320円に間で上昇するとは、希少価値なので
      しょうかね。
[性別]   男性
[年齢]   65
[都道府県] 東京
————————————————————
[書名]   五街道細見
[著者名]  岸井良衛
[理由]   街道沿いにどんな宿があり、屋敷があり、茶屋では団
      子がいくらで、どのくらいの距離で、何が食べれてな
      ど旅行している気分になれる。知っている道も昔はこ
      うだった、昔からこうだったと楽しめ、知らない道は
      新しい発見や観光旅行気分で楽しめる。時代劇を見た
      時は、こんな場所とわかってまた楽しい。   
[性別]   女性
[年齢]   41
[都道府県] 千葉
————————————————————
[書名]   味噌汁三百六十五日
[著者名]  辻嘉一
[理由]   45年前ふと友人の本棚で見かけ、手にとって見たとこ
      ろ面白く興味がわいたので、その内買おうと思っていた
      がそうこうしている内、絶版になり、東京、横浜の本屋
      から姿を消した。新本屋、古本屋に頼んでもなかなか無
      かった。やっと岡山の古本屋さんにあった。涙が出るく
      らい嬉かった。これぞ「電脳」のお陰と感謝していて、
      一つ一つ作って楽しんでいます。
[性別]   男性
[年齢]   69
[都道府県] 神奈川
————————————————————
[書名]   数式を使わない物理学入門
[著者名]  猪木正文
[理由]   中学の時、兄から借りて一所懸命に読みました。理解
      できない所も多々あったのですが中身の一部と挿絵が
      ずっと記憶に残っていてまた読みたいと思っていまし
      たが40年も前のことで手に入らないと思っていまし
      た。ネット社会になり古書までもが自宅で簡単に探せ
      るようになり見つけました。2冊買いました。嬉しか
      ったです。
[性別]   男性
[年齢]   57
[都道府県] 山口
————————————————————
[書名]   角川茶道大事典 普及版
[著者名]  林屋辰三郎他編
[理由]   茶道に係わって30年、是非欲しい事典でしたが、発
      行の時に買えなくて、何年もたってあちこち探したの
      ですが、どこにも売っていませんでした。半年かかっ
      てやっとこのサイトを知り、探したら ビンゴ 1冊
      のみ有りました。それも格安で。届いた本を見たら、
      まったくの新品で、いいのかしらという感じでした。
      これをバネにこれからも尚一層茶道の道に励みたいと
      思います。本当にありがとうございました。    
[性別]   女性
[年齢]   51
[都道府県] 山口
————————————————————
[書名]   シカの童女
[著者名]  岡野薫子
[理由]   1970年代初めに和紙で作られた、限定1,000部
      の絵本。私の朗読の師匠が「またあれを読んでみたいが、
      もう手に入らないだろうねぇ…」と諦めていた一冊。そ
      れが、こちらのサイトで検索したところ一発で発見!も
      ちろん即購入しました。値は張りましたが、驚くほど状
      態が良く、師匠も私も大喜び。少々早めのクリスマスプ
      レゼントとなりました。     
[性別]   男性
[年齢]   30
[都道府県] 埼玉
————————————————————
[書名]   古戦場 上杉軍記
[著者名]  歴史図書社編
[理由]   NHK大河ドラマ「天と地と」に影響を受け、姉妹本
      の「武田軍記」を昭和44年にリアルタイム購入して
      以来、あとがきにあった「上杉軍記」の存在は知って
      いたものの何度古本屋で探しても見つからなかったま
      さに自分にとっての「まぼろしの逸品」。探し求めて
      30数年目、世の中はインタ-ネットの時代となり、
      この日本の古本屋ネットの古書検索で見つけたときに
      は心臓がひっくり返るほど感激しました。しかも送ら
      れてきた本のきれいなことに二度感激。またぜひ利用
      したいと思います。ありがとうございました。
[性別]   男性
[年齢]   47
[都道府県] 新潟
————————————————————

この他にもHPにてご紹介しております。
⇒ http://www.kosho.ne.jp/melma/qs/kekka200801.htm

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1月~3月の即売展情報
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日本の古本屋メールマガジンその63 2008.1.25

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日本の古本屋メールマガジン その62 12月25日号

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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 1. 自著を語る その28『続和本入門 江戸の本屋と本づくり』
 2.「古本屋が書いた本」展目録
 3. 日本の古本屋即売展情報

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本年もインターネット「日本の古本屋」をご愛顧いただきまして
誠にありがとうございました。おかげさまで皆様からたくさんの
ご注文を頂戴いただくことができました。
 インターネット「日本の古本屋」では古典籍から現代の本まで、
全国の古書店が新入荷品を毎日更新しております。どうぞ明年も
いっそうのご愛顧をいただけますよう宜しくお願い申し上げます。
 今月の自著を語るは『続和本入門』(橋口侯之介・平凡社)です。
2005年に出た前著『和本入門』は、和本の世界をわかりやすく
紹介した好著として大変話題になりました。
その第二弾が刊行となりました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■続和本入門 江戸の本屋と本づくり■

                  誠心堂書店・橋口 侯之介

有史以来、明治初めまで日本でつくられた書物を総称して「和本」
という。現在でも古書店の店頭でよく見かけるのは、江戸期の間に
大きく発展したことと、書物を残す努力を続けてきたことが理由と
してあげられる。その結果、世界的に見ても稀有なほど古い書物の
残る国になった。

前著の『和本入門 千年生きる書物の世界』(平成十七年、平凡社)
では、その和本の歴史や見かたを古書店主の経験をもとにわかりや
すくまとめた。しかし、入門というと、形式や装訂などの形から入
らなければならず、どうしても本を物としてとらえてしまう。ほん
とうの本の楽しさは、そのようなフィジカルな側面でなく、そこに
かかわる人間のメンタリティー部分を知ることにある。
わたし自身も、当時本をどのように作り、売り、読んだのかなど、
知りたいことがたくさんあった。それを、本屋の目で見たのが今度
の『続和本入門 江戸の本屋と本づくり』である。

江戸期の書肆は、本屋仲間という同業者組織をつくって活動したが、
個々の店では、出版から新刊書販売、卸などのほかに、古本業務も
同時にこなしていた。江戸の古本屋というのは、本屋の一営業部門
だったのだ。本屋仲間は、江戸、京都、大坂にそれぞれ古書の市を
開いていて、活発な流通がはかられていた。仲間加入の本屋は自由
に本を出品でき、そこから買うことができた。
市場は入札とフリ(せり売りの形式)で行なわれていて、売り手か
ら五分の歩金をとっていたことなど、今とまったく同じである。

仲間組織の役員たちの活動記録も残されていて、出版許可の割印を
捺す通常業務のほかに、対外的な苦情処理やら、内部の未払い金催
促などに四苦八苦している様まで記録されている。
職人たちへの手当や、出版にかかわる諸雑費などを実証的に明らか
にして、当時の出版原価計算もとってみた。すると、出版というの
は利益の薄いもので、何度も増刷してようやく元がとれる商売だっ
たことなど、現代とさして変わらない実態がわかった。それでも、
生き続けていた秘密は何なのか、そんなことも調べてみた。

このほか、本屋の公式ルートをとらない私的な出版も少なくなかっ
た。むしろその私家版にこそ歴史的に重要な本がある。また手書き
する作業を少しもいとわなかったので、写本も健在だった。それが
たくさん流通し、その影響力は大きかった。
江戸時代、全期にわたる年毎の書物成立数も調べた。これはインタ
ーネット時代になったからこそできた統計処理である。
書物を幅広く見ることと、「つくる」「売る」「読む」という多面
的な考察をすることで、日本人の書物観が見えてくる。それは現代
にも通じることである。本書では、そんな視点を提案した。
______________________________

□□続和本入門 江戸の本屋と本づくり□□

著者:橋口 侯之介
発行:平凡社( http://www.heibonsha.co.jp/ )
2007年10月発行
定価:2,310円(本体:2,200円)
ISBN:978-4-582-83376-8
判型:四六判
頁数:264頁

◇◆橋口 侯之介(はしぐち・こうのすけ)◆◇

1947年東京都生まれ。
1974年、岳父・田中十蔵の神田・誠心堂書店に入店。
1984年跡を継ぐ。
著書に『和本入門 千年生きる書物の世界』がある。
誠心堂書店HP http://seishindo.jimbou.net/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
        ▽「古本屋が書いた本」展目録
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

2005年4月21日から4月24日まで東京古書会館にて
行われました「古本屋が書いた本」展に合わせて目録を発行
いたしました。
⇒ http://www.kosho.ne.jp/event/chosaku.htm

B5判、52ページ、700点以上もの著作を掲載。
1部500円(+送料210円)。

まだ残部がございますので、ご希望の方は、本代500円+送料
210円合計710円分の切手を同封のうえ、郵便番号、住所、
氏名、電話番号を明記のうえ郵便にて下記までお申し込み下さい。

101-0052
東京都千代田区神田小川町3-22
東京古書組合・広報部 

━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━━

12月~2月の即売展情報
⇒ http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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日本の古本屋メールマガジンその62 2007.12.25

【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
    東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
    E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
    URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
    広報部:内堀弘
    TKI:岩森正文

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日本の古本屋メールマガジン その61 11月22日号

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☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 1. 自著を語る その27『古本蘊蓄』
 2.「古本屋が書いた本」展目録
 3. 日本の古本屋即売展情報

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早稲田、神田など都内で賑やかに開かれていた古書市も終わると、
もう初雪や木枯らしの便りが伝わってきます。
いつもインターネット「日本の古本屋」をご利用いただき、
ありがとうございます。
今月の「自著を語る」は、八木福次郎さん新著『古本蘊蓄』です。
九十二歳の八木さんは、今も日本古書通信の現役編集長。
古本の生き字引が綴ったコラム二百篇以上が一冊にまとまりました。

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■古本蘊蓄■

                 日本古書通信社・八木福次郎

 永年、雑誌の編集や出版、古書の売買を続けてきて業界歴七十年、
その間の見聞をコラムなどに書いてきた。自社の「日本古書通信」
だけでなく、他の新聞や雑誌にも書くこともあって、その数、概算
で二、三千はあるかと思う。そんなことが平凡社の編集部の人と雑
談のなかで話しが出て、手許にあったコラムのコピー五、六百をご
覧にいれると、さすがに編集のベテランである。十日ほどで、その
なかから二百五十ほどを選びだし、配列までして「これは本になる
よ」といって戻された。

 まさかと思ったが、読みなおしてみると、短いものながら、雑学
的な読物として、何とか本になりそうである。少し手を入れて出し
てもらうことにした。永年、折りにふれて、その時に話題になった
事柄や珍しい本の出現、自分なりに興味をもった本のことなどを書
いたものではあるが、現在の読者にもアピールするものが何かあり
そうに思えた。古本屋が書いたものだから、その時の古書価の入っ
たものが多い。書いた時の古書価ということでそのままにした。一
つの記録として意義があるかと思う。各項の終りに発表の年月を入
れた。

 その「古本蘊蓄」の目次の一部をあげると、百万塔陀羅尼、勅版
日本書紀、忠臣蔵の文献、富士山の噴火、錦絵一枚一銭、「西哲夢
物語」、漱石自筆の書簡、次郎長と愚庵、「羅生門」出版記念会、
藤村操の「煩悶紀」、「自由詞林」三種、荷風本の御三家、夢二本、
太宰治の本、「文芸の三越」長い書名と短い書名、ウイリアム・モ
リスのケルムスコット・プレス、立川文庫、書物関係の雑誌、本物
・贋物、手紙・はがきの希少価値、講談速記本、処女出版本、消え
た本・消された本、などなど、一篇が六、七百字で、どこから読ん
でも一項目五、六分で何か得るところがあろうかと、自画自賛のコ
ラム集である。

幸い、今月に入って再版になりました。
______________________________

□□古本蘊蓄□□

著者:八木福次郎
発行:平凡社( http://www.heibonsha.co.jp/ )
2007年10月発行
定価:2,625円(本体:2,500円)
ISBN:978-4-582-83373-7
判型:四六判
頁数:264頁

◇◆八木 福次郎(やぎ・ふくじろう)◆◇

1915年兵庫県明石市生まれ。
33年旧制加古川中学校卒業後、上京して古今書院に入社。
36年より『日本古書通信』の編集に携わる。
63年日本古書通信社代表取締役となり、今日にいたる。
主な著書に『著者別書目集覧』(川島五三郎共著、六甲書房)、
『小型本雑話』(こつう豆本)、『古本屋の手帖』『古本便利帖』
『古本屋の回想』(以上、東京堂出版)、『書国彷徨』(日本古書
通信社)、『書痴斎藤昌三と書物展望社』(平凡社)
『私の見てきた古本界70年』(スムース文庫)など多数。

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        ▽「古本屋が書いた本」展目録
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

2005年4月21日から4月24日まで東京古書会館にて
行われました「古本屋が書いた本」展に合わせて目録を発行
いたしました。
⇒ http://www.kosho.ne.jp/event/chosaku.htm

B5判、52ページ、700点以上もの著作を掲載。
1部500円(+送料210円)。

まだ残部がございますので、ご希望の方は、本代500円+送料
210円合計710円分の切手を同封のうえ、郵便番号、住所、
氏名、電話番号を明記のうえ郵便にて下記までお申し込み下さい。

101-0052
東京都千代田区神田小川町3-22
東京古書組合・広報部 

━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━━

11月~1月の即売展情報
⇒ http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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 次回は2007年12月下旬頃発行です。お楽しみに!
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日本の古本屋メールマガジンその61 2007.11.22

【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
    東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
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日本の古本屋メールマガジン その60 10月25日号

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☆INDEX☆
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 1. 自著を語る その26『疑似喪失感』
 2.「古本屋が書いた本」展目録
 3. 日本の古本屋即売展情報
4. イベントのお知らせ 第48回東京名物神田古本まつり

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10月7日に東京古書会館で開催しました古書の日記念イベント
「本屋さんの現在とこれから=書肆アクセス閉店が意味するもの」
には、たくさんのお申し込みをいただきました。定員の100名を、
ぎりぎりの150名まで増やしましたが、それでも多くの方をお断り
をしなければなりませんでした。改めてお礼とお詫びを申し上げます。
尚、『書肆アクセスという店があった-神保町すずらん通り1976
-2007』が11月末に刊行されます。
詳しくはhttp://d.hatena.ne.jp/jinbouac/をご覧下さい。
神保町では恒例の青空古本まつりが始まります。
秋空の下、どうぞお出かけ下さい。

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■疑似喪失感■

                      鷹山堂・沖田信悦

 発端は、物故者の先輩に満州帰りのそれも古本屋をなりわいにし
ていたという話を小耳にはさんだからだ。ちょうど千葉県古書組合
の歩みを書きおえたころ(平成7年)だった。当初の調べはあくま
でも興味本位から。だが、すぐにも資料の僅少さに嫌気がさして、
長い年月、放り投げていたというのが本音である。それがまたぞろ、
息を吹き返したのはどういうわけか。

 僕が思うに、出身地に第二水俣病を発症させた「昭和電工鹿瀬
(かのせ)工場」があり、その周辺で青少年時代を過ごしたことと
無縁ではない。昭和40年の水俣病問題から工場が急ピッチで縮小
され、多くの従業員家族が故郷を後にした。いってみれば故郷離散
者の大きなうねりである。僕の場合、昭和41年に父が定年をむか
えたため当地を離れたが、心理的には同感覚であった。不遜かもし
れないが、敗戦直後の外地引揚者(とりわけそこで生まれ育った者)
にどこか似通った喪失感とでもいうのだろうか・・・・

 現在、船橋でインターネットもできない小さな古本屋を営んでい
るが、この疑似喪失感はずっと僕の心底に貼りついている。ここ数
年、地元の「郷土誌」(鹿瀬工場について)にかかわったり、放擲
していた本書のテーマに再トライさせたのだと思っている。

 申し遅れたが、本書は2005年3月「全古書連ニュース」から
2006年5月「同ニュース」に連載したものがベースになってい
る。
______________________________

□□植民地時代の古本屋たち□□
    樺太・朝鮮・台湾・満州・中華民国-空白の庶民史-

著者:沖田信悦
発行:寿郎社( http://homepage2.nifty.com/jyurousya/ )
近日刊行
定価:2,100円(本体:2,000円)
ISBN:978-4-902269-23-9 C0036
判型:四六判並製アジロ綴
頁数:192頁

◇◆沖田 信悦(おきた・しんえつ)◆◇

昭和21年新潟県生まれ
明治大学文学部卒業。昭和52年より古本屋を営む。
著書に平成8年3月『千葉県古書籍商組合略史』、
同9年10月『琥珀色の彼方-鹿瀬町とハーモニカ長屋-』がある。

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        ▽「古本屋が書いた本」展目録
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2005年4月21日から4月24日まで東京古書会館にて
行われました「古本屋が書いた本」展に合わせて目録を発行
いたしました。
⇒ http://www.kosho.ne.jp/event/chosaku.htm

B5判、52ページ、700点以上もの著作を掲載。
1部500円(+送料210円)。

まだ残部がございますので、ご希望の方は、本代500円+送料
210円合計710円分の切手を同封のうえ、郵便番号、住所、
氏名、電話番号を明記のうえ郵便にて下記までお申し込み下さい。

101-0052
東京都千代田区神田小川町3-22
東京古書組合・広報部 

━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━━━━

10月~12月の即売展情報
⇒ http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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    ┌───────────────┐
    ◇第48回東京名物神田古本まつり◇
    └───────────────┘

会期:10月26日(金)-11月1日(木)
会場:神田神保町古書店街

昭和35年に初めて開催された「神田古本まつり」も、
本年で48回になります。
今年も専大前交差点から駿河台下交差点まで、
書店と書棚に囲まれた「本の回廊」が出現!
靖国通り沿いを100万冊の古書が埋め尽くします。
ぜひ御来場ください。

 ◎併催イベント
  「~DOCUMENTARY FILM 「和本」完成披露試写会~」
   会期:10月29日(月)・30(火)上映午後6時30分~
   会場:東京古書会館地下ホール

  「和本完成記念展示会「和本の世界」
   会期:10月25日(木)-31日(水)
   会場:東京古書会館2階ギャラリー
   ※入場無料です。

日本の文化遺産であり、世界を代表する日本独自の文化である「和本」。
この世界をより身近に楽しんでもらえるよう、
東京古典会が約1年間に渡りハイビジョンにて撮影・制作した
【和本を取り巻く人々のヒューマンドキュメンタリー】です。
ゲストに荒俣宏さんを迎え(30日のみ)
業界初のドキュメンタリーフィルム”和本”の完成試写会を
上記の日程で行います。
古書会館地下ホールへも賑々しく足をお運び下さい。

詳しくは下記サイトまで
→ http://jimbou.info/

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日本の古本屋メールマガジン その59 9月21日号

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☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 1. 自著を語る その25『古本屋を怒らせる方法解題』
 2.「古本屋が書いた本」展目録
 3. 日本の古本屋即売展情報

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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暑い夏がようやく終わり、さわやかな季節を迎えました。読書の秋。
古本イベントも各所で開催されます。数があまり多いので、「イベ
ント特集号」を先日お届けいたしました。どうぞお出かけ下さい。
林哲夫さんの新刊『古本屋を怒らせる方法』(白水社)はこの季節
にピッタリのエッセイ集です。読めばすぐにでも古本屋歩きをした
くなること請け合いだからです。
今月の「自著を語る」はその林哲夫さんです。

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■古本屋を怒らせる方法解題■

                          林 哲夫

「古本屋を怒らせる方法」とは挑発的な書名ですね、ズバリその真
意は?

先日、このように質問されまして、言葉に詰まりました。『古本屋
を怒らせる方法』と申しましても、特別な秘策があるわけではあり
ません。商売をしている人なら誰でもが嫌がることをすれば、古本
屋さんだって怒るんだぞーという、それだけの話です。じつのとこ
ろ、怒らせる方法が分かれば、うまくつき合う方法も自然と身につ
きます。

もちろん古本屋を怒らせてばかりではありません。

 古本で遊ぶ方法
 古本と出会う方法
 古本を読み解く方法

これら三つの章に分けて三十編のエッセイを収めております。奈良
の古本屋・キトラ文庫さんが発行しておられる『coto』という雑誌
に連載させていただいた作品を中心として『日本古書通信』や『彷
書月刊』などの古書関係の媒体、同人雑誌や個人雑誌に発表したも
のに、少し長目の書き下ろしを加えてあります。大方の読者の皆様
にとっては初出も同然の内容であろうかと存じます。

『古本屋を怒らせる方法』には決して掘り出し自慢もありませんし
(あ、ほんの少々なきにしもあらず)、大それた新発見や新説も見
当たりません。なにしろ書影もありません。文章力で勝負して「古
本文学大賞」を狙ってます、というのは真っ赤なウソです。

もう長らく古本ブーム(または古本屋ブーム)と言われ、古本に関
する新刊も途切れずに出版されているのですが、今でも古本屋は敷
居が高くて入りにくい、古本屋の主人は怖い、そう思っておられる
健気(けなげ)な読書人は少なくないようです。そういう人たちに
少しでもリアルな古本屋さんたちの姿を、そして古書即売会の楽し
みを知ってもらおう、そういう意図で一冊にまとめました、という
のも真っ赤なウソです。

このメルマガをお読みの皆様ならよくよくご存知のように、古本屋
の主人というものはユニークな人が多いのです。例えば、実名で月
の輪書林さんに何度もご登場願っていますが、手前味噌ながら、月
の輪さんに関するくだりは何度読んでも笑ってしまうのです。そん
なささやかな楽しみを分かち合いたい、まあそのへんが執筆意図と
言えば言えましょうか。

そして、売る方が売る方なら、買う方も買う方です。古本を求めて
どこからともなく湧いてくる顧客たち。この人たちがまたムチャク
チャ面白いのです。とくに関西がホームグラウンドですので(そう
そう、京都の古本屋案内もチャッカリのせております)、得も言わ
れぬキャラクターがうじゃうじゃ生息しております。

 「で、おまえは?」

いや、そのご懸念ごもっともなれど、小生などあの方々の足許にも
遠く及びません。とにもかくにも一読三嘆、一怒三楽の『古本屋を
怒らせる方法』、ごひいきによろしゅうお願い申し上げます。

______________________________

□□古本屋を怒らせる方法□□
著者:林哲夫
発行:白水社( http://www.hakusuisha.co.jp/ )
2007年8月発行
定価:2,100円(本体:2,000円)
ISBN:978-4-560-03167-4
判型:四六判
頁数:244ページ

◇◆林 哲夫(はやし・てつお)◆◇

1955年香川県生まれ。画家。
1999年、岡崎武志、山本善行らと書物雑誌『sumus』を創刊。
『喫茶店の時代』で第15回尾崎秀樹記念大衆文学研究賞受賞。
著書に『古本デッサン帳』『文字力100』『歸らざる風景』など。

林哲夫さんブログ・デイリースムース

http://sumus.exblog.jp/

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        ▽「古本屋が書いた本」展目録
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いたしました。
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B5判、52ページ、700点以上もの著作を掲載。
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日本の古本屋メールマガジンその59 2007.9.21

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日本の古本屋メールマガジン  その58 8月24日号

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1. 自著を語る その24『三度のメシより古本!』
2.「古本屋が書いた本」展目録
3. 日本の古本屋即売展情報

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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┳┳┳┳┳┳┳┳┳【緊急告知】┳┳┳┳┳┳┳┳┳
   イベント案内(古本・夜の学校VOL4)
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■「四谷文鳥堂とは何だったのか・七十年代の本と本屋と出版社」

七十年代が生み出した伝説の書店。当時の店員と客が三十数年前の
この個性的な書店を語ります。

◇ 川口秀彦 ◇
  1946年生。薔薇十字社編集部、
  文鳥堂四谷店などを経て古書店主に。

◇ 佐伯修 ◇
  1955年生。高校時代から四谷文鳥堂に通いつめていた。
  著書に『上海自然科学研究所科』『偽史と奇書の日本史』他

┌─────────────────────────────┐
│ 日 時 : 九月四日(火曜日)午後六時~八時        │
│ 場 所 : 東京古書会館 七階会議室             │
│ 入場料 : 500円                     │
│      定員40名(まもなく満席・残席僅少です。)    │
│  URL : http://www.kosho.ne.jp/event/yagaku/vol04.htm  │
└─────────────────────────────┘

┳┳┳┳┳┳┳┳【速報・次回予告】┳┳┳┳┳┳┳
     2007年・古書の日記念イベント
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■「本屋さんの現在とこれから」
 
小さな個性派書店・書肆アクセス閉店の問題を通じて、改めて個性
的な書店の可能性・必要性を考えたいと思います。

 ゲスト
 ◇ 畠中理恵子(書肆アクセス店長)
 ◇ 永江朗(評論家)
 ◇ 田村治芳(彷書月刊編集長)

┌───────────────────────┐
│ 日 時 : 十月七日(日曜日)午後二時~四時  │
│ 場 所 : 東京古書会館 地下1階        │
│ 入場料 : 無料                │
└───────────────────────┘
詳細は近日中にご案内いたします。

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本好きには「こつう」でお馴染みの『日本古書通信』。
その編集をしている樽見博さんが、好評だった『古本通』(平凡社
新書)に続いて『三度の飯より古本!』を上梓されました。
「明治文献はなぜ値が上がったか」「浮世絵評価の変遷」「明治百
年と初版本ブーム」など、古本の世界の奥行きの広さを堪能できる
一冊です。

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■三度目の正直■           日本古書通信社・樽見 博

昨年の『古本通』に続き本年五月、平凡社新書として『三度のメシ
より古本!』を出させて頂いた。一昨年の私家版『古本ずき』から
だと三冊目である。それぞれ古本への思いを精一杯書いたのだが、
最初の私家版はともかくとして、一般の読者向けに書いた二冊の反
響の度合いが随分と違う。『古本通』が広く受け入れられたのはビ
ギナーズラック、もとより、私に読者の要望をつかんで書くという
余裕はないし、書き上げるのにようやくであったというのが正直の
ところである。
 
今回のテーマは、明治以降の古本業界に於ける人気商品の変遷と、
人を蒐集に駆り立てる書物の持つ魅力とは何かという二つである。
経験談といよりも、書くことで私自身が確かめることが出来ればと
いう少々難しい課題であった。
浮世絵、明治文献、戦後文学初版本などの古書業界における評価
が、時代の大きな動きに連動するように変遷してきた。それを具体
的なデータで後づけることが一つ。
もう一つは、その人気の変遷に見るように、時代により人々が求
める知識や娯楽の有りようは変化するが、書物の好きな人間の行動
は、調べてみると、江戸の昔から現在まで基本的には何も変わって
いない。珍しい物への興味、一を知れば更に二、三を知りたいと広
く深くなっていく知識欲、結局書物蒐集に走る人間に共通するのは
考証癖、しかも効率性とは対極にある性である。現在ではあまり知
られていない劇作家真山青果の『随筆滝沢馬琴』という、非常に面
白くて優れた書物を軸に、馬琴や大田南畝、青果も属した集古会の
面々の考証癖と書物蒐集の関係に触れた。読みもしない調べもしな
い蒐集家も皆無ではないが、優れた蔵書家や古本屋は必ず勉強家で
あると同時に、それは調べた事実を記録しつづける事と密接に結び
ついている。その記録が、時を経ても色褪せることの無い書物随筆
や考証随筆となってきた。書物を読むこと集めること、記録すこと
も好きな者は、昔も今も、それを続けることで自らを知り、書物に
よって癒されているのだということが、一冊書き上げて確認できた
ことであった。

『古本通』は、これまで触れられることのなかった古書業界の成り
立ちや、古書市場の実際を具体的に解説し、大切にしてきた蔵書を
有効に処分する方法などについて触れた。古本の奥深さや文献調査
の醍醐味についても自分の経験を書いた。今回の『三度のメシより
古本!』はもう一歩進めて、時に寝食を忘れるほど書物蒐集に人を
駆り立てる書物の魅力や魔力について書いた。その意味で、やはり
実際的内容ではなかったのかもしれない。しかし、これは自分では
一度まとめておきたいテーマであった。どなたかが、インターネッ
トのブログで、著者は紛れもなく、古本によって癒されていること
が分かったと、書かれていたが、まったくその通りである。私にと
って難しいテーマであっただけに、何とかまとめることが出来た達
成感も大きいのだが、刊行後三ヶ月を経て改めて思うのは、私家版
ではなく、販売を目的とした本として、別の書き方もあったのかも
しれないと思う反面、三度目の正直とはなりえなかったが、この辺
が実力と諦めてもいるところである。

_______________________________

□□三度のメシより古本!□□

 著者:樽見 博
 発行:平凡社
 http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/browse.cgi?code=85_375
 2007年5月発行
 定価:735円(本体:700円)
 ISBN:978-4-582-85375-9
 判型:新書判
 頁数:208ページ

◇◆樽見 博(たるみ・ひろし)◆◇
  
 昭和29年茨城県生まれ。
 法政大学法学部卒業。
 昭和54年日本古書通信社入社。以後「日本古書通信」の編集、
 「全国古本屋地図」の編纂などに従事。
 著書に、平成16年1月私家版「古本ずき」、同18年4月
 「古本通」(平凡社新書)がある。

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        ▽「古本屋が書いた本」展目録
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2005年4月21日から4月24日まで東京古書会館にて
行われました「古本屋が書いた本」展に合わせて目録を発行
いたしました。
⇒ http://www.kosho.ne.jp/event/chosaku.htm

B5判、52ページ、700点以上もの著作を掲載。
1部500円(+送料210円)。

まだ残部がございますので、ご希望の方は、本代500円+送料
210円合計710円分の切手を同封のうえ、郵便番号、住所、
氏名、電話番号を明記のうえ郵便にて下記までお申し込み下さい。

101-0052
東京都千代田区神田小川町3-22
東京古書組合・広報部 

━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━━━━

8月~10月の即売展情報
⇒ http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

■『文京の古本屋』~学術書・専門書ならお任せください~■

東京古書組合文京支部公式サイト
『文京の古本屋』がリニューアル・オープン。

学術書からサブカルチャーまで各分野専門書店45店舗が
ご案内いたします。皆様のご来店お待ちいたしております。

『文京の古本屋』
⇒ http://www.kosho.ne.jp/~bunkyo/

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 次回は2007年9月下旬頃発行です。お楽しみに!
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*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,300店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその58 2007.8.24

【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
    東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
    E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
    URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
    広報部:内堀弘
    TKI:岩森正文

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日本の古本屋メールマガジン その57 7月25日号

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◆INDEX◆
 1.シリーズ「活字の周辺」その4 
  『四谷文鳥堂の特色』
 2.「古本屋が書いた本」展目録
 3.日本の古本屋即売展情報

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神保町すずらん通りにある書肆アクセスが、この秋(十一月中旬)
で閉店になるというショッキングなニュースが飛び込んできました。
小さな出版社の本を扱う個性的な書店でした。三十一年になるそう
ですが、本当に残念です。七十年代に始まった試みがまた一つ幕を
閉じようとしています。四谷文鳥堂書店、ここも七十年代という時
代が生み出したような書店でした。若い店員たちがそれぞれ書棚を
任され、個性的な小出版社の書物を多く並べ、「本屋新聞」なる独
自の店内メディアを発行していました。 古本・夜の学校VOL4は、
この伝説の書店を語ります。

■「四谷文鳥堂とは何だったのか・七十年代の本と本屋と出版社」

講師 : 川口秀彦+ゲスト(予定)
(薔薇十字社編集部、文鳥堂四谷店などを経て古書店主に)
 日時 : 九月四日(火曜日)午後六時~八時
 場所 : 東京古書会館 七階会議室
 入場料 : 500円
定員50名(下記URLよりご予約下さい)

http://www.kosho.ne.jp/event/yagaku/vol04.htm

皆様のお申し込みをお待ちしております。

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■四谷文鳥堂の特色■
               古書 りぶる・りべろ 川口秀彦

 一九六〇年代の終り頃開店し二〇〇五年秋に閉店した四谷文鳥堂
は、神楽坂の上、新潮社や旺文社の傍にあった文鳥堂書店の二番目
の支店だったが、魅力ある個性的な新刊書店として、現在も一部の
本好きの人には評価の高い店である。では、その魅力、特色とは何
だったのか、同店が個性の確立をほぼ終って充実へと向かっていた
七〇年代半ばに店員だった私が、記憶していることをざっと書いて
みることにしよう。

 文鳥堂は、街の新刊屋として、取次や版元に近いという立地を活
かしながら精一杯普通の新刊屋としての努力も怠っていなかった。
経営者の理解もあって二十坪(のちに三十坪)の店とは思えぬ質の
高い品揃えをし、当時の大型店である百坪百五十坪の書店の棚と遜
色のない密度の濃い棚づくりをしていた。しかし、文鳥堂の品揃え
の特色は、取次経由で入荷する商品を並べる一般書店としてだけで
なく、ミニコミ、自主出版物を豊富に扱ったことと、ミニプレイガ
イド業務をやっていた点にもある。

 現在のようにコンビニでチケットの買える時代ではなかった。映
画などの前売券は特定の場所でしか購入できなかったのだが、文鳥
堂はその特定の場所として、洋画ファンなどによく利用されていた。
最新評判作の映画ポスターがいつも店頭を彩っていて文鳥堂の雰囲
気づくりの大きな要素となっていた。ミニコミを扱うことでは、新
宿模索舎、神田ウニタ、早稲田文献堂と並ぶ有名店だった。政治的、
文学的なものだけでなく、松尾書房の「下着と少女」シリーズも販
売するなど、硬派から軟派まで目配りした品揃えだった。

 品揃え以外の同店の特色は、外に向けては書店から読者への情報
の発信であり、内に向けては版元、他書店からの参加をつのっての
勉強会であった。何号かを重ねた「本の新聞」というタブロイド紙
には早川書店の早川義夫氏も参加していた。文鳥堂の雰囲気づくり
の一大要素であるBGMは、早川氏のジャックスや浅川マキが多く、
選曲は店長の木戸幹夫氏がしていた。

 すべての面で同店の推進力だった木戸氏は八〇年代に入って代官
山文鳥堂として独立、その後発信力は弱まったが品揃えの指向は維
持された。そこには木戸氏と共に初期の四谷店で働き、私の入店後
程なく飯田橋店店長となった斎藤孝良氏の力もあるだろう。斎藤氏
は最後の四谷店店長でもあった。

 七五年十月からの満二年、同店で新刊書店員として修業した私は、
神奈川県内の新刊屋勤めのあと、八一年七月に横浜で古本屋を開業
した。当時はたまたまの自分の経歴を売りものにする気はなかった
が、数年前吉祥寺に移転して後の業績の悪化でその禁を破ったキャ
ッチコピーを作った。「幻の出版社薔薇十字社にいた、伝説の新刊
書店四谷文鳥堂にもいた、頑固な店主の不在が多い店。」不在がち
なのは外売に追われているためである。

■川口秀彦(かわぐち・ひでひこ)■

一九四六年九州に生まれ育つ。早稲田大学文芸専攻の第一期生。
学習参考書、医学書の編集などを経て七一年から七三年まで薔薇十
字社に勤務し、その後造船関連誌の編集者。七五年に文鳥堂、七七
年から神奈川県内の書店に勤め、八一年横浜で古本屋を開業。七年
前に吉祥寺に移転し今日に至る。吉祥寺移転のきっかけは大学入学
以来の友人五味正彦氏(新宿模索舎、吉祥寺ほんコミ社の創業者)
の誘いによるものだった。

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■「古本屋が書いた本」展目録■

2005年4月21日から4月24日まで東京古書会館にて
行われました「古本屋が書いた本」展に合わせて目録を発行
いたしました。

http://www.kosho.ne.jp/event/chosaku.htm

B5判、52ページ、700点以上もの著作を掲載。
1部500円(+送料210円)。

まだ残部がございますので、ご希望の方は、本代500円+送料
210円合計710円分の切手を同封のうえ、郵便番号、住所、
氏名、電話番号を明記のうえ郵便にて下記までお申し込み下さい。

101-0052
東京都千代田区神田小川町3-22
東京古書組合・広報部 

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■日本の古本屋即売展情報■

7月~9月の即売展情報

http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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次回は2007年8月下旬頃発行です。
お楽しみに!

*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,300店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその57 2007.7.25
【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
    東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
    E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
    URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
    広報部:内堀弘
    TKI:岩森正文

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