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持ちぬしの顔    (シリーズ古書の世界第11回)

持ちぬしの顔

出久根達郎

 目下の話題は、もっぱら都民の台所を賄う豊洲市場の開場だが、鮮魚や野菜に限らず、物の仕入れ法やルートなど、知らないかたが多い。特に、古書がそうである。
 古書店で客に聞かれる筆頭が、古書ってどこから仕入れてくるのですか? だろう。

 お客様が買ってほしい、と持ち込む場合もあるし、お客様宅へ伺って購入する時もある。それらの本は自分でさばくのだが、自店に不向きの本は、市場に運んでセリや入札にかけて処理する。
 そう語ると、大抵の客が、「古書市場というのがあるんですか?」と驚く。

 今こそ業界は宣伝につとめるべきだろう。古書市場見学ツアーを、催せばよい。豊洲市場どころではない、人気を呼ぶこと受け合い。どんな本が高価で、どんな本が安いか、目の前でとくと見てもらえばよい。業界は客に元値が知れるのを恐れるが、本の保存状態やその他の条件で、元値は流動的なのだし、それを実際に目で確かめてもらうのがいい。
「すると市場で仕入れた本は、元の持ちぬしが何者であるか、全くわからないわけですね」
客が聞く。
「それで納得しました」
何のこと?
「いや、古本屋さんで買うと、何だか落ち着くんです」
わからない。
「古本屋さんの書棚にある本は、持ちぬしの顔が無いから、安心して読めるんです」
 客が語った。
 親しかった知人が亡くなり、形見に、知人が大事にしていた蔵書を全部いただいた。「あなたに読んでいただき、持ってもらうと、故人もどんなに喜ぶか知れない」そう言って、「もらっていただけますか?」打診された。
 お金はいらないと言う。それが多少、心の負担だったが、ありがたくちょうだいした。
「ところが、もらった本というのは、読まないものですね」
 故人とは趣味が同じだし、性格も似ている。読書傾向もほぼそっくりだったが、どういうわけか、旧蔵の本に手が出ない。
「つまり、顔が見えてしまうからなんです」

 ある日、故人が偏愛していた本の一冊を、何の気なし拾い読みした。面白い。いつか夢中で読みふけっていた。「こっけいな文章に行き当たったんです。それで思わず、ゲラゲラと独り笑いした。ふと、たぶん知人もこの部分で声を立てて笑ったに違いない。そう考えたら、知人の笑顔がはっきり思い出されて、何だか大笑いしているのが自分でなく、故人のような気がして、思わず、ぞっと後ろを振り返りました」
 古書店の本は、人の顔が見えないからいい、という意味は、そういうことだったのである。読書に何らの制約も受けない。そこが気楽だ、というのである。



hontokurase
『文庫 本と暮らせば』 著者 出久根達郎
(草思社文庫) 定価:886円 (本体 820円) 好評発売中!
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2018年10月25日 第261号

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     。.☆.:* その261・10月25日号 *:.☆. 。
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☆INDEX☆
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1.『本の虫の本』 林哲夫
2.『書皮報』 中西晴代

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━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━

『本の虫の本』

                         林哲夫

紙魚(しみ)をご存知でしょうか? 古書通のみなさんに対して今
さらこんな質問を発するのもおこがましいかもしれません。おそら
くどなたも古書の隙間からスルスルッとはい出して来る灰色の小さ
な虫に遭遇されたことがあるでしょう。本書で田中美穂(倉敷の古
書店・蟲文庫の主)は次のように説明しておられます。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4229

『本の虫の本』
林 哲夫 著 / 能邨 陽子 著 / 荻原 魚雷 著 / 田中 美穂 著 /
岡崎 武志 著
創元社 定価:2,484円  好評発売中
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=3894

━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━

書皮報 第50号

                        中西晴代

「書皮報」は、<本が好き、本屋が好き、本屋のカバーも好き>の
書皮友好協会の会報です。1983年の「本の雑誌」(本の雑誌社)に、
「本屋のカバーを集めています。交換しませんか」という投稿が載っ
て、それを見たカバーにこだわる人、集めている人、集めていないけ
ど何となく面白そう、という人たちが集まって、本屋のカバーを『書
皮』と名付けて、書皮友好協会ができた。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4238

書皮友好協会
http://bcover.la.coocan.jp/

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『古本的思考 講演敗者学』 山口昌男 著
晶文社 定価:本体2700円+税 好評発売中!
https://www.shobunsha.co.jp/?p=4847

『やちまたの人 編集工房ノア著者追悼追悼記続』涸沢純平 著
編集工房ノア 定価2000円+税  好評発売中!
〒531-0071 大阪府大阪市北区中津3-17-5
TEL 06-6373-3641
FAX 06-6373-3642

『書店経営指標2018年版』 日本出版販売株式会社
B5判52頁 価格 :本体1,500円+税

『出版物販売額の実態2018』
B5判46頁 価格 :本体1,400円+税
好評発売中 ご注文はこちら↓↓
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━━━━━━【「古典籍展観大入札会」のお知らせ】━━━━━━

古典籍展観大入札会では全国の和本を扱う古書業者や、収集家、
名家から出していただいた名品が多数出陳され、お客様にお見せし
ます(展観)。そしてお客様の指し値をもとに大入札会(オークシ
ョン)がおこなわれます。主に扱われるものは和本(版本、写本)、
古筆、古文書、古地図、錦絵、中国朝鮮本等です。

平成30年度古典籍展観大入札会

展観(一般公開)
2018年11月16日(金) 10:00~18:00
2018年11月17日(土) 10:00~16:30

会場:東京古書会館
地図:http://www.kosho.ne.jp/~kotenkai/images/map_big.gif

入札会(全古書連加盟店のみ)
2018年11月18日(日)・19日(月)

展観日には、一般の皆様に出品の全点をお見せします。
入札は皆様のご注文に応じ、古書店業者が代行します。

詳細は東京古典会のホームページ
http://www.koten-kai.jp/catalog/information.php?siID=23

をご覧ください。

東京古典会

━━━━━━━━【第59回東京名物神田古本まつり】━━━━━━

◆青空古本市
年に一度、100万冊の大バーゲン!
靖国通りの歩道に、書店と書棚に囲まれた約500mの「本の回廊」が
出現!

[日 時] 10月26日(金)~11月4日(日)
10:00~19:00(最終日~17:00)
[会 場] 神田神保町古書店街
(靖国通り沿い・神田神保町交差点)

○特選古書即売展
 神保町の有力古書店有志による、展示即売会。
 [日 時] 10月26日(金)~10月28日(日)
10:00~18:00(最終日~17:00)
 [会 場] 東京古書会館 地下ホール
  古典籍から肉筆資料、近代初版本まで普段店頭では見られない
内外の貴重書籍を集めたイベントです。お宝探しはこちらから!
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4220

他にもイベント盛りだくさん!
詳しくはホームページをご覧ください。
  http://jimbou.info/news/furuhon_fes_index.html

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

10月~11月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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 次回は2018年11月中旬頃発行です。お楽しみに!
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全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその261 2018.10.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:二見彰
編集長:藤原栄志郎

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「神田古本まつり特選古書即売展」のお知らせ

「神田古本まつり特選古書即売展」のお知らせ

平成30年度神田古本まつりの一環として、神田古書店連盟協賛「神田古本まつり特選古書即売展」が来たる10月26・27・28日の3日間 東京古書会館地下1階で開催されます。(午前10時~午後6時 最終日午後5時閉会)

和洋の古典籍・古地図・歴史学、民俗学等の学術書・近現代日本文学の初版本や草稿・映画・美術・趣味など個性あふれる14店が出店いたしますので、是非ご来場お願い申し上げます。

今回も昨年同様、会場・東京古書会館2階情報コーナーにて26・27・28日の3日間「希少書籍の展示会」を行います。
また期間内の会場決済に限り、総額1万円以上の場合はクレッジト決済がご利用になれます。

会期内、会場で5千円以上お買い上げのお客様には
送料無料券をご提供いたします。

目録ご希望の方は切手500円同封の上
101-0051 千代田区神田神保町1-1 慶文堂書店
までお申し込みください。
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去年の東京古書会館2階情報コーナーにて「希少書籍の展示会」風景

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

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「書皮報50号」

「書皮報50号」

中西晴代

 「書皮報」は、<本が好き、本屋が好き、本屋のカバーも好き>の書皮友好協会の会報です。1983年の「本の雑誌」(本の雑誌社)に、「本屋のカバーを集めています。交換しませんか」という投稿が載って、それを見たカバーにこだわる人、集めている人、集めていないけど何となく面白そう、という人たちが集まって、本屋のカバーを『書皮』と名付けて、書皮友好協会ができた。日本の書店では、本を買うと無料でカバーを掛けてくれる。本はどこで買っても、同じ値段で同じ商品だ。それなら、気に入ったカバーをかけてくれる書店で本を買いたい。互いの連絡手段が、手紙か固定電話の頃のこと。近況や、入手した書皮、訪ねた書店、旅の報告など、手書きで書いた原稿をまとめて会報にした。

 会員同士の情報交換で、日本各地の書店に様々な書皮があることを知って、素晴らしい書皮を讃えようということになった。そして毎年1回、会の中で人気投票をして、「書皮大賞、地方賞、特別賞」を決めて、賞状を持って書店を訪ねて、ご店主から聞いた書皮についての話を会報で紹介する、を30回続けた。会員たちの関心の的は、読んだ本より、新しくできた書店のことだ。どんな雰囲気と品揃えか、どんな書皮を使っているか?で、書皮は会員たちが集まる口実かもしれない。
 会ができて35年という区切りの今年、会報は50号になった。さらに今年は13年ぶりに2冊目の「カバー、おかけしますか?2」(出版ニュース社)が出版されて、6月に東京古書会館で2度めのカバー展を開催するという、めでたい出来事が重なって、50号はそれらの報告でいつもより厚い104ページになった。

 「カバー、おかけしますか?2」では、私のコレクションの中から、絵柄でジャンル分けした248枚の書皮を紹介。東京古書会館 2階でのカバー展(6月20日~23日)では、本に入らなかった<食べ物/元号/コンビニ/作家の似顔絵>などを加えた、32のジャンルに分けて書皮を展示して、韓国やアメリカ、中国で入手した書皮も入れた。順路の最初は、会場がある神保町に敬意を表して、<神保町の新刊書店/古書店>から。ガラスケースのほかに、会場の壁2面に書皮を貼りに貼って・・・その数567枚。いくつかのジャンルが部屋の中に入りきらなくて、外に置いてあった移動式パーティションへと続いた。

 絵画作品展さながらの会場は、さっと見て通り過ぎてしまいがちだけれど、それではもったいない。以前よく見かけた新潮社の横向きひょうたん柄はマチスの作品だとか、絵の作者は誰もが知る著名人(伊丹十三、水木しげる、手塚治虫・・・)だとか、単行本用の大判書皮には絵の隅にオオグソクムシが増えたとか・・・蒐めているから知っていることがある。そんな”実は・・・”を紹介するギャラリートークを、会期中に5回行った。

 13年前の東京古書会館でのカバー展との違いは、スマホ片手の若い世代が、気に入った書皮を撮影して、その場でSNSに上げていたことだ。書店のレジでカバーいりませんと言う人が多い一方で、日本だけにある書店カバーの文化が、若い世代にカワイイものとして受け継がれていくとしたら、喜ばしいことだ。

 4日間だけ存在した、部屋の中すべてが「カバー、おかけしますか?」の書店カバーという、夢のような空間だった。会場で書いていただいたアンケート用紙には、「書店カバーにこんなに種類があるとは! 絶景だ。自分の思い出と重なる。本を日焼けや汚れから守ってくれる大切なもの。図書館のカバーがあるとは」等々。見慣れすぎて存在感の薄い書店カバーも、500枚以上並べばオーラを放つというもので、何人ものお客さんから「圧倒された」の声を聞いた。わざわざ足を運んでくださった皆さんに、楽しく驚いていただけたなら幸いだ。

 「書皮報」50号は、そんなこんなの4日間のことを、思い出せる限り書いた記録集でもある。



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書皮友好協会
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本の虫の本

本の虫の本

林哲夫

 紙魚(しみ)をご存知でしょうか? 古書通のみなさんに対して今さらこんな質問を発するのもおこがましいかもしれません。おそらくどなたも古書の隙間からスルスルッとはい出して来る灰色の小さな虫に遭遇されたことがあるでしょう。本書で田中美穂(倉敷の古書店・蟲文庫の主)は次のように説明しておられます。

「フナムシを小さくしたような、銀色のあれ。シミ目シミ科の昆虫で英名はsilverfish。寿命は七、八年と思ったより長い」「その名前からして、いかにも本の天敵のようであるけれど、しかし、活字の上にうねうねとした喰い跡を残したり、穴を開けたりするのはシバンムシという茶色くてころっとした甲虫の仕業なのだ」。

 なるほど、紙魚は本を食い荒らすわけではなかったんですね、安心しました。蟲文庫さんによりますと、鹿児島の大隅諸島から届いた古書に住みついていたヤマトシミは、ふだん見かけるものよりも、ひとまわり以上も大きく、かなり黒っぽかったそうです。どちらかと言えば南方系の生き物だそうで、関西の方で幅を利かせているらしいのです。もし万一「糸魚川ー静岡構造線」以東の方で紙魚を知らないとおっしゃる方がいらしても悲観(?)するにはあたらないのかもしれません。

 本の間をウロチョロしながら本とともに暮し、本をなめるように生活している、まるで紙魚のような人たちのことを「本の虫」と申します。そんな本の虫五匹……古本界ではもうおなじみのオカザキフルホンコゾウムシ(岡崎武志)、オギハラフルホングラシムシ(荻原魚雷)、理科系女子タナカコケカメムシブンコ(田中美穂)に加えて、新刊書店のおもしろ話を数々披露してくれるノムラユニークホンヤムシ(能邨陽子、京都・恵文社一乗寺店勤務)、そして私ハヤシウンチククサイムシ(林哲夫)……が集りまして文字通り『本の虫の本』をまとめました。

 本と本をとりまく世界について、五匹がそれぞれ分担したテーマを、短いエッセイとして執筆しています。見出しは155。用語集としての正確さも心がけながら、読んで楽しいように編集されています。巻中に挿入された赤井稚佳のカラーイラストも本好きならではのデフォルメが気持いいのです。どのページを開いても何かしらヒントになる、そう、本が読みたくなる、本屋・古本屋へ行きたくなる、そんな本に仕上がりました。どうぞ一度、立ち読みしてみてください、「座り読み」(ノムラムシ担当)でもけっこうです。

蛇足ながら、執筆者全員、糸魚川ー静岡構造線以西の生まれです。



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『本の虫の本』
林 哲夫 著 / 能邨 陽子 著 / 荻原 魚雷 著 / 田中 美穂 著 /
岡崎 武志 著
創元社 定価:2,484円  好評発売中
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2018年10月10日 第260号

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 古書市&古本まつり 第68号
      。.☆.:* 通巻260・10月10日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。
なお、1月から「シリーズ古書の世界」を連載しております。

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━━━━━━━━━【シリーズ古書の世界 第11回】━━━━━━━

本と暮らす

                    出久根達郎(芳雅堂)

数年前、『本と暮らせば』という本を書いた(今夏、草思社文庫で刊)。
むろん、井上ひさしの名作『父と暮らせば』の模倣タイトルである。
下手なもじりに及んだのは、昨今、家の中から本が消え、本と暮らし
ていない人が大半だからである。
 本と暮らす生活がどのようなものか、まじめに考察するつもりだ
ったが、よくよく考えてみると、私の本を読むような人はすでに実
践しているわけで、何も改めて私が説くまでもない。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4200

『文庫 本と暮らせば』 著者 出久根達郎
(草思社文庫) 定価:886円 (本体 820円) 好評発売中!
http://www.bunsobunko.net/soshisha/detail/978-4-7942-2347-0.jsp

━━━━━【10月10日~11月15日までの全国即売展情報】━━━━━

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

第18回 四天王寺 秋の大古本祭り(大阪府)

期間:2018/10/05~2018/10/10
場所:四天王寺 大阪市天王寺区四天王寺1-11-18
URL:http://osaka-koshoken.com/

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第49回 鶴屋古書籍販売会(熊本県)

期間:2018/10/10~2018/10/15
場所:鶴屋百貨店 本館6階催事場 
熊本市中央区手取本町6番1号

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2018/10/11~2018/10/14
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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城南古書展

期間:2018/10/12~2018/10/13
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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有隣堂イセザキ本店・古書ワゴンセール(神奈川県)

期間:2018/10/13~2018/11/04
場所:有隣堂伊勢佐木町本店
   横浜市中区伊勢佐木町1-4-1

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ぐろりや会

期間:2018/10/19~2018/10/20
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://www.gloriakai.jp/

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本の散歩展

期間:2018/10/19~2018/10/20
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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秋の古本掘り出し市(岡山県)

期間:2018/10/24~2018/10/29
場所:岡山シンフォニービル1F 自由空間ガレリア
   岡山県岡山市北区表町1-5-1

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2018/10/25~2018/10/28
場所:JR浦和駅西口さくら草通り 徒歩5分 マツモトキヨシ前
URL:https://twitter.com/urawajuku?lang=ja

--------------------------
ア・モール古本市(旭川市)

期間:2018/10/25~2018/10/30
場所:コープさっぽろ ア・モール店 1階催事場
北海道旭川市豊岡3条2丁目

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神田古本まつり特選古書即売展

期間:2018/10/26~2018/10/28
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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フィールズ南柏の古本市(千葉県)

期間:2018/10/26~2018/11/08
場所:フィールズ南柏2F 千葉県柏市南柏中央6-7

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オールデイズクラブ古書即売会(愛知県)

期間:2018/10/26~2018/10/28
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12 

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第59回 東京名物 神田古本まつり(青空古本市)

期間:2018/10/26~2018/11/04
場所:神田神保町古書店街(靖国通り沿い・神保町交差点ほか)

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好書会

期間:2018/10/27~2018/10/28
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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第13回 にしお本まつり(愛知県)

期間:2018/10/27~2018/10/28
場所:愛知県西尾市立図書館/西尾市岩瀬文庫
   愛知県西尾市亀沢町480

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明治維新150年カウントダウン 維新ふるさと館古書店(鹿児島県)

期間:2018/10/27~2018/11/04
場所:鹿児島市維新ふるさと館受付前ロビー(入場無料 館内見学は有料) 
   鹿児島市加治屋町23番1号(西郷隆盛生誕地隣)

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第20回 図書館総合展古書即売会(神奈川県)

期間:2018/10/30~2018/11/01
場所:パシフィコ横浜 展示ホールD
   横浜市西区みなとみらい1-1-1
URL:http://www.libraryfair.jp/

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第42回 秋の古本まつり-古本供養と青空古本市-(京都府)

期間:2018/10/31~2018/11/04
場所:大本山百万遍知恩寺境内 
京都府京都市左京区田中門前町103
URL:http://koshoken.seesaa.net/

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東京愛書会

期間:2018/11/02~2018/11/03
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

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古書愛好会

期間:2018/11/03~2018/11/04
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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蓬左文庫古書市

期間:2018/11/03~2018/11/11
場所:徳川園 蓬左文庫エントランスホール(講座室) 
名古屋市東区徳川町1001

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洋書まつり

期間:2018/11/09~2018/11/10
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://blog.livedoor.jp/yoshomatsuri/

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好書会

期間:2018/11/10~2018/11/11
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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新橋古本まつり

期間:2018/11/12~2018/11/17
場所:新橋駅前SL広場

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早稲田青空古本まつり

期間:2018/11/12~2018/11/17
場所:早稲田大学十号館前(大隈重信公銅像そば) 
新宿区西早稲田1-6-1

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浦和宿古本いち-埼玉県民の日(14日)臨時即売展- (埼玉県)

期間:2018/11/14~2018/11/18
場所:JR浦和駅西口さくら草通り 徒歩5分 マツモトキヨシ前
URL:https://twitter.com/urawajuku?lang=ja

━━━━━━━━━━【映画公開のお知らせ】━━━━━━━━━

映画
『ビブリア古書堂の事件手帖』

鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂。その店主である篠川栞子
(しのかわ しおりこ)が古書にまつわる数々の謎と秘密を解き明
かしていく国民的大ベストセラー、三上延・著「ビブリア古書堂
の事件手帖」シリーズ。
その実写映画化となる『ビブリア古書堂の事件手帖』が11月1日(木)
に公開となります。

続きはこちら
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原作:三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』
(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊) 
出演:黒木華 野村周平/成田凌/夏帆 東出昌大
監督:三島有紀子 脚本:渡部亮平、松井香奈 
(C) 2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会  
配給:20世紀フォックス映画、KADOKAWA
主題歌:サザンオールスターズ「北鎌倉の思い出」
(タイシタレーベル/ビクターエンタテインメント)

ホームページ
https://biblia-movie.jp/

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日本の古本屋メールマガジンその260 2018.10.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:二見彰

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hontokurase

本と暮らす    (シリーズ古書の世界第10回)

本と暮らす

出久根達郎

 数年前、『本と暮らせば』という本を書いた(今夏、草思社文庫で刊)。むろん、井上ひさしの名作『父と暮らせば』の模倣タイトルである。下手なもじりに及んだのは、昨今、家の中から本が消え、本と暮らしていない人が大半だからである。

 本と暮らす生活がどのようなものか、まじめに考察するつもりだったが、よくよく考えてみると、私の本を読むような人はすでに実践しているわけで、何も改めて私が説くまでもない。そして本と同居していない人は最初から読むはずがない。ここで私が言う本は、紙に印刷された書籍であって、電子書籍のことではない。電子のそれは、私自身は書籍と称するのに抵抗がある。映像のそいつを蔵書といえるだろうか。
 しかし、近い将来には、本といえば電子の方になるのだろう。紙の本は邪魔者扱いされるのだろう。いや、それはすでに始まっている。

 先日、所用で外出した折、近所のゴミ集積所に、世界大百科事典の揃いが捨ててあった。きちんと一巻から巻を追って積んであった。三十数年前の版だが、使おうと思えば、十分、事典の用は果たす。もったいないと思うが、出かける身ではどうしようもない。心あるかたにもらわれなよ、と念じながら立ち去った。

 夕方、帰途、集積所の前を通ったら、百科事典の山だけが元の位置に残っていた。貼り紙があって、「これはゴミではありません 資源です。資源回収の日に改めて出して下さい」と書いてあった。事典の持ち主に宛てた文言だろう。
 私はうなるほど感心した。確かに事典はゴミではない。「資源」である。ものは言いようだ。この貼り紙を書いた人は、本を粗末に扱った持ちぬしに皮肉をきかせたのだろう。
 カミさんにかくかくと報告したら、資源ゴミと生ゴミの回収日は別だ、と言ってるんですよ、ゴミ扱いには変わりません、と苦笑した。
 百科事典は、いつのまにか、処理されたようである。数日後、集積所に姿は無かった。

 別に感慨も湧かないが、あの時、きちんと巻を揃えて集積所に置いた持ちぬしの心情を、あれこれ推量した。長い間、大事にしていた事典ではなかったか。使ったかどうかはともかく、事典と共に暮らしていたのである。何かの事情で手離さざるを得なかった。古書店に相談したに違いない。商売では引き取れぬ、と言われたはずだ。だからといって手元にとどめられぬ事情があった。泣く泣く集積所に運んだのかも知れない。邪魔者だったら、とうの昔に処分していたろう。本と暮らせない特別なことが出来(しゅったい)したのかも知れない。

 突然、家の中から戸外に放置された百科事典は、どんな思いであったろう。書物の居場所は家屋、それも書棚がふさわしい。人のぬくもりの感じられる近くである。本というものは、必ず人とつながっているものなのだ、と今更ながらしみじみ思うのである。



hontokurase
『文庫 本と暮らせば』 著者 出久根達郎
(草思社文庫) 定価:886円 (本体 820円) 好評発売中!
http://www.bunsobunko.net/soshisha/detail/978-4-7942-2347-0.jsp

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『ビブリア古書堂の事件手帖』映画公開

『ビブリア古書堂の事件手帖』映画公開

鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂。その店主である篠川栞子(しのかわ しおりこ)が古書にまつわる数々の謎と秘密を解き明かしていく国民的大ベストセラー、三上延・著「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ。
その実写映画化となる『ビブリア古書堂の事件手帖』が11月1日(木)に公開となります。

◆シリーズ累計680万部突破!国民的大ベストセラー小説の完全映画化!
原作は「本の雑誌」40年間のベスト40【第1位】(2015年「本の雑誌」40周年企画)、年間ベストセラー文庫総合【第1位】(2012年トーハン調べ)など数々の賞を受賞し、日本中から愛される文芸ミステリー小説。2011年に三上延により「ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~」が発行されてから現在7巻のシリーズが刊行し、シリーズ累計680万部の大ベストセラー作品です。古書店を舞台にした本作の実写映画化に際し、東京都古書籍商業協同組合も制作に協力しています。

◆実力派監督のもとに、最高のキャストが集結!
さらに主題歌を担当するのは、今年デビュー40周年を迎えたサザンオールスターズ!
本作でメガホンを執るのは、真摯な目で人間に寄り添う作風で知られ、昨年『幼な子われらに生まれ』(17)で第41回モントリオール世界映画祭コンペティション部門審査員特別賞に輝いた三島有紀子監督。
自身も本好きである人間ドラマの名手が、古い本に込められた人々の思いを丹念に浮かび上がらせます。
そして極度の人見知りだが、驚くべき本の知識と優れた洞察力で古書にまつわる謎を解き明かす、若く美しいビブリア古書堂店主・篠川栞子に、実力派女優・黒木華。
そんな栞子のもとに本を持ち込み、彼女に魅せられて店を手伝うことになる五浦大輔(ごうら だいすけ)を、大ヒット作への出演が続いている野村周平が人間味豊かに演じます。
さらに、漫画専門のネット販売を行う同業者で、栞子たちに関わっていくことになる稲垣に成田凌、大輔の祖母・五浦絹子の若き日に夏帆、絹子に惹かれる小説家志望の田中嘉雄に東出昌大と、現在の日本映画界を牽引する豪華実力派キャスト陣が本作で夢の競演を果たしました。
主題歌は、今年デビュー40周年を迎えたサザンオールスターズの新曲『北鎌倉の思い出』。
桑田佳祐が作詞・作曲した楽曲を原由子の歌声が優しく包み、情緒ある【ビブリア】の世界観を表現します。


◆漱石と、太宰。2冊を結ぶ禁断の秘密とはー? その謎が解き明かされる時、本がつなぐ真実の愛に心揺さぶられる。
50年前に隠された夏目漱石「それから」のサイン本と、現代で狙われる太宰治「晩年」の希少本。この2冊を中心に本作は、ビブリア古書堂を舞台に栞子と大輔が“大切な秘密”を紐解く≪現代のパート≫と、絹子と嘉雄の“知られてはいけない恋”を描く≪過去のパート≫で構成されます。古書から読み解かれる謎の先にあるのは、本は人の思いを受け継ぎ、時間をつなぐのだ―という真実と感動。本に導かれ、《過去》と《今》が交差する極上の感動ミステリーが、ここに誕生しました。



【STORY】

鎌倉の片隅にひそやかに佇む古書店「ビブリア古書堂」。過去の出来事から本が読めなくなった五浦大輔(野村周平)がその店に現れたのには、理由があった。亡き祖母の遺品の中から出てきた、夏目漱石の「それから」に記された著者のサインの真偽を確かめるためだ。磁器のように滑らかな肌と涼やかな瞳が美しい若き店主の篠川栞子(黒木華)は極度の人見知りだったが、」ひとたび本を手にすると、その可憐な唇からとめどなく知識が溢れだす。さらに彼女は、優れた洞察力と驚くべき推理力を秘めていた。栞子はたちどころにサインの謎を解き明かし、この本には祖母が死ぬまで守った秘密が隠されていると指摘する。それが縁となって古書堂で働き始めた大輔に、栞子は太宰治の「晩年」の希少本をめぐって、謎の人物から脅迫されていると打ち明ける。力を合わせてその正体を探り始めた二人は、
やがて知るのであった。漱石と太宰の二冊の本に隠された秘密が、大輔の人生を変える一つの真実につながっていることを―。


biburia



原作:三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊) 
出演:黒木華 野村周平/成田凌/夏帆 東出昌大
監督:三島有紀子 脚本:渡部亮平、松井香奈 
© 2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会  
配給:20世紀フォックス映画、KADOKAWA
主題歌:サザンオールスターズ「北鎌倉の思い出」(タイシタレーベル/ビクターエンタテインメント)

https://biblia-movie.jp/


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2018年9月25日 第259号

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1.忘れられた戦時中の女性団体を掘り起こして
       胡澎(中国社会科学院日本研究所日本社会室室長)
2.死海文書と終末論         月本昭男
3.「本の玉手箱―国立国会図書館70年の歴史と蔵書―」

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━━━━━━━━━━━【自著を語る(213)】━━━━━━━━━

忘れられた戦時中の女性団体を掘り起こして

       胡澎(中国社会科学院日本研究所日本社会室室長)

 白いタスキをかけて「万歳」三唱で出征兵士を送り出す「国防婦
人会」の女性たち――戦時中の女性団体についてはそんなイメージ
がすぐに思い浮かぶのではないかと思います。実は、出征兵士の見
送りは1942年夏まで。それ以降は防諜上の理由から禁止されます。
名前だけはよく知られている「大日本国防婦人会」も、アジア・太
平洋戦争の過程では「大日本婦人会」に統合(1942年2月)されて
しまっていました。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4182

『戦時体制下日本の女性団体』胡澎 著 莊嚴 訳
こぶし書房 本体4,200円+税 好評発売中!
http://www.kobushi-shobo.co.jp/book/b298092.html

━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━

  死海文書と終末論

                      月本昭男

 死海文書の最初の発見は一九四七年、その二年前には、ナグ・ハ
マディ文書と呼ばれるグノーシス主義文書がエジプトで出土してい
ます。二〇世紀最大の発見と称されることになる二つの文書は、相
前後して日の目を見たことになります。死海文書は、キリスト教が
成立する前後の時代に書かれて、死海沿岸の洞穴に秘匿され、ナグ
・ハマディ文書はキリスト教が地中海周辺地域にひろがってゆく時
期に書かれ、四世紀前半に埋められました。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4180

死海文書 全12冊 死海文書翻訳委員会訳 刊行開始
『死海文書 Ⅷ 詩篇』勝村弘也・上村静訳
定価 3600円+税 好評発売中!

『死海文書 Ⅸ 儀礼文書』上村静訳
ぷねうま舎刊 定価4000円+税 好評発売中
https://www.pneumasha.com/

━━━━━━━━━━━━━【お知らせ】━━━━━━━━━━━

開館70周年記念展示
「本の玉手箱―国立国会図書館70年の歴史と蔵書―」

国立国会図書館では、開館70周年を記念した展示会「本の玉手箱―
国立国会図書館70年の歴史と蔵書―」を開催します。
昭和23(1948)年の開館以降の当館の歩みと、約4,300万点に及ぶ
蔵書の多様さを、美しい本、珍しい本、どこかで見た本、世を映す
本といった特色ある資料約180点(展示替え分を含む)の展示によ
りご紹介します。

 http://www.ndl.go.jp/exhibit70/index.html

[東京会場]
開催期間:平成30年10月18日(木)~11月24日(土)
     (日・祝・11月21日(水)は休館)
開催時間:10時~19時(土曜日は18時まで)
会場:国立国会図書館東京本館 新館1階展示室
(東京都千代田区永田町1-10-1)
入場料:無料

[関西会場]
開催期間:平成30年11月30日(金)~12月22日(土)
     (日・12月19日(水)は休館)
開催時間:10時~18時
会場:国立国会図書館関西館 地下1階大会議室
  (京都府相楽郡精華町精華台8-1-3)
入場料:無料

※両会場とも展示会の観覧のみの場合、入館手続きは不要です。
満18歳未満の方でもご覧いただけます。

お問い合わせ先:
国立国会図書館利用者サービス部サービス企画課展示企画係
(電話:03-3506-5260(直通)
 E-mail:tenjik-info@ndl.go.jp)

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『本の虫の本』
林 哲夫 著 / 能邨 陽子 著 / 荻原 魚雷 著 / 田中 美穂 著 /
岡崎 武志 著
創元社 定価:2,484円  好評発売中
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=3894

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

9月~10月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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 次回は2018年10月中旬頃発行です。お楽しみに!
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日本の古本屋メールマガジンその259 2018.9.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
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【発行者】
 広報部:二見彰
編集長:藤原栄志郎

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senji

忘れられた戦時中の女性団体を掘り起こして

忘れられた戦時中の女性団体を掘り起こして

胡澎(中国社会科学院日本研究所日本社会室室長)

 白いタスキをかけて「万歳」三唱で出征兵士を送り出す「国防婦人会」の女性たち――戦時中の女性団体についてはそんなイメージがすぐに思い浮かぶのではないかと思います。実は、出征兵士の見送りは1942年夏まで。それ以降は防諜上の理由から禁止されます。名前だけはよく知られている「大日本国防婦人会」も、アジア・太平洋戦争の過程では「大日本婦人会」に統合(1942年2月)されてしまっていました。映画やテレビドラマで作られたイメージをあらためて確かめてみると、意外なほど戦時下の女性の実像を知らなかったことに気付かされます。

 かつての日本政府は満洲事変から「大東亜戦争」まで、国内人口の半分を占める女性を動員しました。女性は戦争を熱狂的に支持したとともに、重要な役割を果たしたのです。しかし、次のことに注意するべきです――戦時期の日本女性は個人としてではなく、さまざまな婦人団体を通して戦時体制に巻きこまれたのだということを。

 戦時体制下では、女性を動員する力を持っていた官製女性団体(愛国婦人会・大日本国防婦人会・大日本聯合婦人会そして大日本婦人会)は、銃後を安定させ、戦時経済生活を維持し、「士気」を鼓舞する上では大きな役割を発揮したと言えるでしょう。
 本書では、まず戦時体制下の女性団体の全体像を俯瞰的に論述することに努めました。我が国(中華人民共和国)の学界ではこの時期の日本女性史に関する資料が不足している現状もあり、日本で蒐集した大量の一次資料をできるだけ利用し、それぞれの団体の公式発表や証言などから実像を描き出しています。

 さらに、なぜ戦時下の女性団体が戦争に追随し協力したのか、この思想的な深層を掘り下げることもめざしました。近代の「忠君愛国」を軸とする女性教育や、「家族国家」観と「家」制度、「男尊女卑」的な社会的性差、「皇祖皇宗国ヲ肇ムルコト宏遠」なる天皇制などの問題を含め、制度・思想・文化と伝統などの視点から日本女性団体が戦時体制に参加したことの原因を分析しています。

 そして、市川房枝をはじめとした婦選運動のリーダーたちが、なぜ満洲事変後に「転向」し、政府の侵略政策を支持し、戦争を支えた官製女性団体の指導者となっていったのか。このことも本書で力を入れたポイントです。ある意味では、彼女たちの「転向」問題をはっきりさせてはじめて、戦時女性団体に適切な評価を行い、必要な歴史的教訓を見出すのに真に役立つと私は考えています。
 女性解放を、国策翼賛をつうじて実現しようとした悲劇――このことが本書のもうひとつのテーマとなっているのです。



senji
『戦時体制下日本の女性団体』胡澎 著 莊嚴 訳
こぶし書房 本体4,200円+税 好評発売中!
http://www.kobushi-shobo.co.jp/book/b298092.html

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