読売新聞社、1957年、1冊、37cm、1冊
ビロード装 全体感:経年並
<松方コレクションについて 嘉門安雄>より一部
13世紀のイタリア絵画から始まっているが,なんといっても中心は印象派である。 マネに始まり, モネ, ピサ シスレー,ルノアール, セザンヌ, ゴーギャン等, ほとんど印象派の大家の総てを網羅し, このコレクションの光源の如く輝 いている。 これは, 松方氏がコレクションを始めた頃は, 時代的にみて印象派以前の名作が手に入りにくかったからでもあろう。 また氏自身が印象派の中心人物であるモネと親交を結んでいたからでもあろう。だが,ここに目をとめ,その代表的な佳作を入手 したのは、やはり確固たる信念と炯眼の賜物である。近代のヨーロッパ絵画史が印象派を軸点として発展してきた如く,松方コレ クションもまた,ここに大きな支柱を見出すのである。
しかも、印象派以前の作品が集めにくい時代になっていたにもかかわらず,例えば,リューベンス, レムブラント, フォス, ゴ イェン, コイプ,ネールなど, 17世紀オランダ, ベルギーの大家の見事な作品群を見出すのは一つの驚異でさえある。この一群と 印象派の佳品をみただけでも、 松方コレクションなるものの世界的の意義を知るのである。