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大連、撫順、新吉林、小学館勤務

初版　 カバー　 帯付　 カバーヤケ無し　 帯ヤケ無し　本体三方ヤケ無し　線引き無し　書き込み無し　保存状態良好の美本です。

満鉄の歴史において、レール幅に注目しなければならない。
『汽笛一声新橋を』で始まった日本の鉄道だが、輸入元のイギリスが日本に送り込んできたのは、レール幅が狭いものだった。以後、世界標準のレール幅に変更を試みたが、頓挫した。それが解決したには、昭和39年（1964）の東海道新幹線だった。
　そのレール幅について、満鉄も例外なく、拡張、縮小を余儀なくされた。

　そんな満鉄技師の苦労を読み進みながら、機関車の設計開発者も苦労していた。
　なにもかも、アメリカの機関車、客車の真似事から始まった。ゆえに、冷暖房完備といいながら、その装置の故障も多かった。

　満鉄は「あじあ号」という先入観を打ち消される。
　当初、日本が経営する満鉄の８割は貨物であり、乗客は少なかった。
　さらには、大連、旅順に直結する満鉄は、馬賊、匪賊の襲撃を受け、その守備にも一苦労だった。関東軍という鉄道守備隊はあっても、広大な満洲では完璧ではない。

　鉄道ファンは一種のロマンを抱いて手にしたかもしれない。
　しかし、詳細な資料を駆使した内容は、きわめて現実的。
　それだけに、貴重な一書だった。
　鉄道史というよりも、満洲史として読んでも十分に読みごたえがある。