呉人惠 著、北海道大学出版会、2009年2月、379p、22cm
1刷 カバー付 カバーヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し書き込み無し 奥付下に小レッテル貼り付けありますが保存状態良好の美本です。
本書は,北アジアに分布する古アジア諸語のうち,シベリア北東端のチュコトカ半島からカムチャツカ半島にかけて話されているチュクチ・カムチャツカ語族のひとつ,コリャーク語を対象としている。著者はこれまで十数年にわたりロシア連邦マガダン州のコリャーク族のトナカイ遊牧キャンプにおいて,コリャーク語の現地調査をおこなってきた。コリャーク語は話者数4,000人足らずの危機言語であるが,その言語構造のみならず,言語とその背景にある文化との関係についても十分に知られていない。したがって調査では,コリャーク語の音韻,形態,統語論的掘り起しをおこなうとともに,民俗語彙の収集と分析を通した言語人類学的考察もおこなってきた。
本書は,このうち後者,すなわち,コリャークの彼らをとりまく多様な環境の範疇化と,これに対する適応活動に現れた特色を民俗語彙の分析をとおして言語的側面から炙り出し,言語人類学的成果として纏め上げたものである。具体的には,コリャーク語に投影されているトナカイ遊牧民コリャークを取り巻く自然環境とこれに適応対処するための生業活動,さらには衣食住にかかわる活動,ならびに,自然的・社会的・超自然的な環境である人の誕生と死をめぐる伝統的習慣に焦点を絞った言語人類学的記述を試みている。