大岡信 著、筑摩書房、昭和54年5月、282p、20cm
初版 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
「四季の歌 恋の歌」、この題名だけ見ると、和歌の単なるアンソロジーみたいに感じられてしまうのは私だけではないでしょう。しかし!
前半部分に古今集の成立事情、万葉集と比較した場合の特徴、当時の宮廷社会事情、などが
実にコンパクトに、わかりやすくまとめられていて、「これぞ入門書!」というにふさわしい内容になっています。
中盤以降、古今集の配列順に従って和歌の鑑賞が並べられていきますが、ヘタな人がやると「単なる思い込みのタレ流し」になってしまいがちな鑑賞文を通じて、大岡さんはじつに親切にひとつひとつの和歌の魅力を語りかけてくれています。
さすがにご本人が詩人でいらっしゃるからなのでしょう、文章に「匂い」があり、そういう意味でも「おいしい」一冊になっています。