W.デ・ラ・メア 著 ; 荒俣宏 訳、筑摩書房、1988年5月、302p、15cm
1刷 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体天少点シミ 本体小口と地ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
「幼な心の詩人」と評される、英国の詩人、幻想小説家ウォルター・デ・ラ・メアの詩に、ドロシー・P・ラスロップの愛らしい絵が添えられた、文庫としては贅沢な一冊。 原本は、Down-Adown-Derry (Constable Co.Ltd.,London,1922)。
デ・ラ・メアの作風は、「夢の中に暮らす幼年期の感性」と、あとがきで荒俣氏も述べているとおり、じつに夢幻味あふれるもの。 妖精を題材にした詩の数々は、昔話のような味わいもあり、読んでいるうちに、夢と現の境界が曖昧になる感覚が味わえるのが魅力。
おそらくは日本人が知っていると思っている妖精像とはまるきり違う、ほんとうにほんものの、英国の妖精たちは、月夜や黄昏、闇の帳の向こう側に住む、妖しく魔的な、だからこそ魅力的な存在。耳もとに、月光のようにあえかな、妖精たちの笑い声が聞こえたかと思うと、そのまま、あちら側の世界へ連れ去されてしまいそうな…。
月光の下、妖精の輪(フェアリー・リング)に誘われ、踏み迷ってみたい方は、ぜひ一度お手にとってみてください。