藤井淑禎 著、名古屋大学出版会、1990年3月、284p、20cm
1刷 カバー付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
戦争と結核と失恋による喪失感という外と内の暴風雨に挾撃されて恐怖と不安の中から美しい幻夢の世界を紡ぎ出していった明治30年代青年層の精神風景を、 初期漱石、寅彦、三重吉、折蘆等の作品の丹念周到な解読を通じて、あざやかに浮かび上がらせる力作評論。
明治文学の周辺状況について、広く目配りされている。当時の文学青年が、どういうメンタリティを持っていたのか、文学作品と絡めつつ論じられている。私は、藤村操について、いくら失恋とかの苦悩があっても、自殺までする人は珍しいよな…と思っていたが、当時の青年らには、藤村の自殺に共感するところが大きかったのだとよくわかった。