ハリー・G.C.パッカード 著、新潮社、1993年3月、203p、22cm
2刷 カバー 帯付 カバー^背少ヤケ 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
1993年刊行。昭和の大物アメリカ人美術コレクター、ハリー・パッカード氏による『芸術新潮』誌への寄稿の単行本化。1976年の表題の連載に1966年の単発記事「日本美術の盲点」を合わせたもので、初出から出版までに15年以上も空いているのであります。
「ドナルド・キーンやサイデンステッカーと同じ海軍日本語学校で学んだハリー・パッカード」とオビでは宣伝されているんですが、本文中では同窓生にはこんな人もいたよとさらっと書いてあるだけでして、ドナルド・キーンやサイデンステッカーとの交流といった話題はまったくございません。本書のテーマの日本美術との出会いや、来日後の蒐集生活の思い出。外国人による日本美術コレクションということでミーハーな気持ちで手を出してはいけません、美術に関する記述はとってもガチ、読者にもある程度の予備知識を持っていることが要求されるのであります。美術雑誌の連載だったからね。
全体に素人には難しくて地味な内容が続くのですが、そんな中で印象深かったのは何といっても伊万里焼をはじめとする贋作事件との関わり。日本国内では一流の目利きのはずの人たちが、突然市場に出現した怪しい美術品にころっと引っかかってしまい、疑問を述べた著者の方が「あなたはやっぱり外国人だ。頭がどうかしているんじゃないか」と非難される始末。専門家といえども「こんな美術品がどこかにあるはずだ」という希望的観測と期待には目がくらみ、客観的な判断が鈍ってしまうのですね。