九鬼周造 著、岩波書店、1977年12月、153p、19cm
<改版> 27刷 函付 帯付 函背と天少ヤケ 帯背少ヤケと上部少欠損 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好の並本です。
この九鬼周造『「いき」の構造』は、日本人が古来より持てる感性のひとつである「いき」について考察した名著である。本書はいろいろな言語に翻訳され、世界的にも広く読まれているようだ。
英語では『The Structure of "Iki"』、フランス語では『La structure de l'iki』、ドイツ語では『Die Struktur von "Iki"』、イタリア語では『La struttura dell'iki』である。いずれも「いき」は「iki」としか訳すことができず、そこからも「いき」が日本特有の美観であることがよくわかる。あえて「いき」と言う言葉を他国語に翻訳しようとするのならば、英仏語の場合だと「chic」あるいは「elegance」となり、それすなわち「シック」、「エレガンス」のことである。これはいただけない。ちなみに支那語では「精粋」になるようであるがこれもしっくりこない。
九鬼によると、畢竟、「いき」とは、「垢抜け=諦め」、「色っぽさ=媚態」、「張り=意気地」が織り成す、日本人固有の情緒、感性であるという。「諦め」は仏教に、「意気地」は武士道に、それぞれ由来する。