ルネ・デュボス 著 ; 田多井吉之介 訳、紀伊国屋書店、1971年4月、215p、19cm
6刷 カバー 帯付 カバー背少ヤケ カバー両面ヤケ無し 帯背少ヤケ 帯両面ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
人間は、危険や恐怖を感じることのない安定した社会を理想とし、それを目指して発展してきた。しかし科学技術で自然(病気も含む)を完全にコントロールできるというのは妄想にすぎず、また自然を支配すればするほど、コントロールできない危険を自然の中から解き放すことになる可能性に気づき始めた。また仮にそのような理想郷の建設を実現できたとしても、常に変化を求めるという人間の本能はコントロールできず、新たな病気や反社会的行動を起こすようになる。そして、デュボスが以下のように結んでいる。「地球は憩いの場所ではない。人間は必ずしも自分のためではなく、永遠に進んでいく情緒的、知能的、倫理的発展のために、戦うように選ばれているのだ。危険のまっただ中に伸びていくことこそ、魂の法則であるから、それが人類の宿命なのである。」
ここで倫理に関して疑問なのですが、デュボスは、このような人間の宿命を受け入れることのできる倫理を構築しなければならないといっているのでしょうか。またその宿命の結果、人間が滅びることになってもそれを倫理的に受け入れなければならないということなのでしょうか。