鹿島茂 著、角川春樹事務所、1996年4月、233p、24cm
1刷 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯y6アケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好の美本です。
図版や写真が多く楽しい。一つ一つの話が短く、読みやすく、それでいて、普通知らないような話が多く、感心する。だけど、パリに何度か行っているか、1週間ぐらい滞在していないと、ちょっと実感を伴っては読めないかも(別にパリの経験があることを威張ってるんじゃないです)。というぐらい、1日観光ではフォローしにくい話が載っているということ。印象的には、フランスの、表面的にはしゃれているけど、どこか陰翳があって、翳の部分が、どこか威圧的で、残酷で、汚物的な、そんなものがごたまぜになった変態的なものが、良く出ていると思う。ホント、フランスって、どこか変態的なところがあってカッコ良いけど、残忍で嫌な印象があるよな。。。後半、サン・シモンとフーリエの話が出ているが、著者は、文学者らしく、思想的には追及せず、イメージ的に表現しているところが良いと思う。サン・シモンもフーリエも、上述のどこか変態的で奇態な感じの伴う思想家だけど、そこが良く表現されていると思う。まるで人体に不細工な機械を接着剤で付けた様な、グロイ感じがある奴らだと思うが、まさにそんな感じだ。でも個人的には、イタリアのふくよかで明るくて全ての点でヨーロッパの本家本元のほうが好きだし、本書のようなイタリア版が出ると良いなあ、と思っている。