藤森栄一 著、講談社、2002年3月、307p、15cm
7刷 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
「古道」とは太古の人々の通った生活・時代の痕跡なのだという。つまり、旧石器時代から縄文時代、人々の生活の軌跡がそのまま「みち」になったというのだ。本書は旧石器・縄文・弥生時代から、江戸・明治にかけて、諏訪、信州を中心に生活を営み、時代の変遷を見、そして死んでいった古の人々の名残を「みち」から探し求める短編集である。古き道は流れていく人々の哀歓も、業も自ら語ることはないが、この物言わぬ道の代弁者として著者の藤森栄一は、道の奥に隠された歴史の糸口を手繰り寄せ、つむぎ、語り残してくれた。本書巻末の上諏訪宿の写真に「古き道は滅びない。ただ消えていくのみである。」という感傷的な言葉が添えられており、全体を通して哀愁を醸し出す著者特有の雰囲気で統一された随筆集である。