荒川洋治 著、みすず書房、2005年11月、251p、20cm
2刷 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
みすず書房の荒川洋治のエッセイ集は、いつ出るのかを心待ちにしている数少ない本のひとつだ。前2冊を読んですっかりファンになってしまったのである。とは言え、僕は詩というものが苦手で、荒川洋治の詩を読んだことはない。あくまでエッセイのファンなのだ。一編がだいたい2~3ページと短いのが良い。読み易い。前2冊はいずれも、たまたま旅先の列車の中で読んだのだけど、そういうロケーションに、なぜかしっくりくる本なのである。この人は詩人でありながら、詩ではなく小説をよく取り上げる。それも、今の時流とはまったく関係のない明治~昭和の埋もれた文学作品である。川崎長太郎、小沼丹、葛西善蔵...そう言えば、島村利正の「仙酔島」についてのエッセイを読んだ半年後に、ほんとにたまたま現地を訪れることになるという不思議な体験もした。とは言え、荒川洋治が取り上げる作家の本は、読もう読もうと思って結局読んではいない。とても興味はあるけれど、やっぱり取り上げられる本よりも、それを取り上げる荒川洋治のエッセイが僕は好きなんだな。好きだっていう気持ちが伝わることが好きなのかもしれない。ただ、この人は「キライ」と言うこともはっきりと言う。こだわったり、怒ったりっていうのがとても素敵で、そこが魅力なんだけど、今回のエッセイは、前2冊に比べると、ちょっと独善的、感情的なところが気になって星4つ。前2冊は文句なく星5つです。