植物誌 1 ＜西洋古典叢書＞

初版　 カバー　 帯付　 カバー背少ヤケ カバー両面ヤケ無し　 帯背少ヤケ　 帯両面ヤケ無し　欣タイ天と小口極少点紙魚　本体天と小口少ヤケ　地ヤケ無し　線引き無し　書き込み無し保存状態良好の並本です。　＜タバコ臭＞

大槻真一郎・月川和雄訳テオプラストス『植物誌』に続く邦訳である。アリストテレス『動物誌』に勝るとも劣らぬ古代の名著がこのように研究を重ねられるのは喜ばしい。テオプラストスの記述は現代の植物図鑑に匹敵するくらい精確だと言われるが、そこに現れる500種以上の植物に的確な和名を宛てるのが訳者にとって一番の困難であっただろう。しかし、いちいちに詳しい研究注が施されているので、信頼して従うことができる。樫とか槲と訳されるドリュースについては、「オーク類」とすることの説明が、わざわざ解説においてなされている。解説ではまた、古代には植物の部分名称が発達していなかったので、植物の繊維を動物の「繊維」で、植物の導管を動物の「血管」で表した、など興味深い背景の説明もある。口絵の植物画が美しいばかりでなく、訳文中に挟まれた葉や実の解剖図も理解に役立つが、これが訳者自身の筆になるとは驚きである。京都大学学術出版会の西洋古典叢書ではふつう、訳文の理解を助ける簡潔な注が付いているだけだが、物によってはこのように本文に数倍する訳注がつくのもよい。ただ、１巻と２巻で注の密度がちがうのはどうしてだろうか。第３巻では野菜やハーブの栽培法、利用される穀類・豆類、樹液・樹脂・薬草などが出て来るそうなので、その刊行も楽しみである。

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