島尾敏雄 著、新潮社、2010年8月、378p、20cm
初版 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤkェ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
島尾敏雄とミホの結婚には,当初から「予兆」があった。両者の問題として特攻前の時期に恋をしたこと,終戦後の生活力を父に依存していたこと,敏雄の問題として文学を捨てられなかったこと,ミホの問題としてlunaticな(狂気じみた)ところがあったこと,などの要素があいまって,結婚それ自体としては当初から「失敗」しているようにみえる(結婚は怖いものである)。一方,島尾敏雄はミホという人間を,またミホとの関係性を引き受けることが,自分の文学の糧となっており,その意味では結婚は「成功」している。作家と「引き受ける」ことについて考えさせられる。伊東静雄との交流が興味深い。戦後の神戸・六甲の風景。