NHKスペシャル取材班 著、新潮社、2012年8月、223p、20cm
初版 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好の美本です。
本書は、2012年3月18日に NHK総合テレビで放送された「NHKスペシャル 東京大空襲 583枚の未公開写真」の取材過程を記録した本です。
「発掘された583枚の未公開写真を追う」のサブ・タイトルどおり、2011年夏に一軒の民家の押入れから発見された東京大空襲の写真をめぐって、それらの写真を撮った「東方社」のカメラマン・関係者や、写真に写った人たちを取材しようとする過程が記録されています。
空襲から67年後に取材するわけですから、当然、多くの関係者は亡くなっていたり、所在不明になっていたりするわけですが、NHKの記者たちは遺族への取材も含めて粘り強く調査を進めています。
まさに、数十年も前の東京大空襲が現在によみがえってくるような感慨のある本です。
また、本書は、(a) 当時の米軍の空爆は軍事施設への精密爆撃ではなかった、むしろ何の罪もない民間人を殺戮しようとした非人道的なものであった、(b) 米軍は、空襲の相当前から綿密に民間人殺戮の計画・準備(どこが延焼しやすい地域か、どの程度の量の爆弾を落とせばよいかを綿密に研究。爆撃のためのB29を開発。基地となるマリアナ諸島の奪取作戦。など)を周到に進めていた、(c) 有名な3月10日東京大空襲以前にも、民間人をねらった非人道的な空爆がすでに行われていた、などアメリカ軍の非人道的な行為を一貫して糾弾しています。
私は、以前から、日本人が中国等で行った非人道的行為(いわゆる「南京大大虐殺」など)は国際的にざんざん攻撃され、東京裁判等で裁かれたのに対して、女性や子供も含めた罪もない一般民衆を大空襲や原爆で殺戮しつくしたアメリカ軍が何の咎めも受けないのはおかしいと思ってきました。
この本を読むと、その点が改めて確認され、心の底からの怒りがこみあげてきます。
必読の本と言えると思います。