福田逸 著、文芸春秋、2017年7月、307p、20cm
1刷 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好の美本です。
没後二十余年、初公開資料で大岡・吉田・三島ら「鉢木会」の交わりから晩年の父子の軋轢までを率直に描ききった追想録。
「覚書」の恆存が著者の力説するほど衰えていたとは思わない。
「暗渠」はこのままで何の問題もないし、三島の「文化防衛論」が頭にあれば、話は次の文化論へと自然につながる。
晩年の老衰を強調する著者の見方は歪んでいるが、その歪みを非難する気にはなれない。
大岡昇平の手紙は一級資料だし、そのほかの手紙も、鉢木會の面々との交友が偲ばれて楽しい。
本書読了後、二、三度謦咳に接したことのある福田恆存の姿があざやかに甦った。