式年遷宮記念神宮美術館 編、式年遷宮記念神宮美術館、2008.2、59p、30cm
御題「火」
御 製
炬火台に火は燃え盛り彼方なる林は秋の色を帯び初む
皇后陛下御歌
灯火を振れば彼方の明かり共に揺れ旅行くひと日夜に入りゆく
目次
御製
ご挨拶
図版
日本画
彫刻
工 芸
資料
作品解説・作家略歴·
出品目錄
ご挨拶
新春の「歌会始」は、和歌を通じて皇室と国民を一つに結ぶ、雅やかな宮中行事です。 本年も平成
二十年一月十六日、皇居・宮殿の松の間で「歌会始の儀」が行われ、右の両陛下の御歌を始め、各皇
族方や国民多数の中から選ばれた入選者の歌が披講されました。
神宮美術館では毎年春の嘉例として、この「歌会始」の御題によせて特別展を開催してまいりまし
た。十三回目の今回は、平成二十年の歌会始の御題「火」にちなみ、「火―歌会始御題によせて―」
と題して、ここに特別展を開催致します。
人類は自然の中から火という強大なエネルギーを獲得することで、生活をより豊かにするすべを手
に入れました。 燃え輝く火は我々の生活に密着しており、人類の進歩に火の活用の面から捉えること
も可能でしょう。 火の持つ多面性の中で、火を神聖化する風習は全国各地に見られ、文化的にも重要
な意味を有しています。 伊勢の神宮においても清浄な火を「忌火(いみび)」と称し、神饌調理を始
め神事に用いられます。火は人類に幸福を授けてきた反面、火事や自然災害ももたらしてきました。
それゆえ人々は暖かく身近なものと捉えると共に、畏怖の念を抱いてもまいりました。
本展覧会では、火の特性を「生活の中の火」「自然の中の火」「行事・伝承・祭りの火」としてとら
え、それぞれを代表する近現代の美術・工芸作品を一堂に集めました。また、当館へ作品を献納いた
だいている作家の「火」を主題にした作品も多く展示させていただくことができました。 どうぞその
種々相をご堪能いただければ幸いです。
特別展の開催にあたり、貴重なご所蔵作品を快くご出品下さいました各機関、所蔵家の方々はじめ、
ご協力賜りました関係各位に厚く御礼申し上げます。
平成二十年二月
式年遷宮記念神宮美術館
館長 富山 秀男