勝又浩 著、白水社、2012年2月、275, 6p、20cm
1刷 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
《日本人の心に影を落とすアメリカ》
「緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台」。昭和20年代に人気を博したラジオドラマ『鐘の鳴る丘』。戦災孤児たちの物語は当時の子供たちを夢中にさせた。横浜大空襲に遭い、戦災孤児になりかけ、『鐘の鳴る丘』に世代的共感を抱き続けてきた本書の著者は、この番組が占領軍の指示で制作されたものだと知り、愕然とする。アメリカは破壊者だったのか、救済者だったのか--
廃墟と焼け跡に代表される戦後の混乱と飢えを経験し、それを描いた戦後文学の理念を自らの文学上の精神としてきたが、自分にとっての戦後文学は幻影だったのではないかという疑念を抱きはじめた。
野坂昭如ら「焼跡闇市」世代より一つ下の世代が「鐘の鳴る丘」世代である。敗戦後、米兵がジープから投げるチョコレートに群がり、奇妙な解放と民主主義熱の中でアメリカに憧れて少年時代を過ごした。いつの間にか物質だけでなく精神的にもアメリカに侵蝕され、現在に至っていると気づいた文芸評論家が、戦災孤児の視点に立ち返って戦後文学が捉えてきたアメリカと、描かれなかったアメリカを新たに検証する。戦後日本社会の風俗と民衆の心の動きを追うと同時に自らの生き方を問い、現在につながるアメリカ「占領」の意味を探る力作。