魏 晨 著、ミネルヴァ書房、2023、248p、A5判
本書は「満洲」の児童文学と綴方活動の考察を通して、「満洲」の文化的特徴を問い直す一冊。児童文学作家の活動、満鉄社員会機関誌『協和』や満洲移住協会機関誌『拓け満蒙』などの関連メディアを紹介。児童を日満双方で派遣しあい、綴方を書かせた日満綴方使節についても、新たな調査を実施し、検証することで、「満洲」の児童文学と満洲綴り方の全貌を解明。「満洲」文化に潜んでいる多元性、辺境性、連続性を浮き彫りにする。
凡 例
序 章 児童文学から「満洲」の文化特徴を問い直す
第Ⅰ部 「満洲」児童文学と様々な「満洲」像
第1章 「満洲」における児童文学展開の歴史──機関誌、同人誌、大衆メディア
第2章 「満洲」童話作家・石森延男の登場──満鉄社員会機関誌『協和』における創作活動
第3章 大陸開拓動員と児童文学──「満蒙開拓青少年義勇軍」をめぐる児童文学試論
第4章 「満洲」育ちの童話作家・山田健二──「満洲」次世代の主体性を描く
第5章 戦後日本における「満洲」経験の再構築──山田健二「満蒙開拓青少年義勇軍」作品群の改稿
第Ⅱ部 日満綴方使節をめぐる「満洲」次世代の誕生
第6章 日満綴方使節の活動──児童がいかに「満洲国」支配へ統合されたのか
第7章 交錯するまなざし、齟齬する満洲夢──『綴方日本』と『綴方満洲』の比較から見る日満関係のポリティクス
第8章 川端康成と綴方──戦時中の帝国主義とつながる回路
終 章 「満洲」次世代の誕生とゆくえ
参考文献
初出一覧
あとがき
参考資料
人名・事項索引