G.ガルシア=マルケス 著 ; 鼓直, 木村栄一 訳、筑摩書房、2024年8月、205p、15cm
37刷 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好の美本です。
本が好きな人なら、自分の人生に影響を与えてくれたり、悩んでいた時に道を示してくれた作品と出逢った事が少なからずあると思う。自分にとってガルシア・マルケスの作品との出逢いはまさにそれで、その時読んだのがこの作品集『エレンディラ』だった。
マルケスの作風には、大きく分けて2つのタイプがあると思うが、一つは記者時代のキャリアから生まれたスタイルで、実際の事件を基にしたり、あるいはジャーナリスティックな手法で書かれた、『予告された殺人の記録』や『族長の秋』に代表されるような小説。
もうひとつは、マルケスの少年時代に祖母が物語を語ってくれた時の、その独特の話法を小説に取り入れた幻想的な物語、シュールなものが日常の当たり前の出来事のように語られる不思議な文体で、その集大成ともいえるのが『百年の孤独』だが、本短編集はそこに至る試行錯誤の過程で、マルケス・スタイルが限りなく完成形に近づいたものだと思う。
多くの短編集と比べても、全7篇、いずれも奇想・幻想的で豊穣な語り口で突出している。