三浦哲郎 著、新潮社、1989年12月、235p、20cm
初版 函 帯付」 函両面ヤケ無しm 函両面少点シm9 箱背少ヤケ オビヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好の並本です。
「おらんだ帽子」(講談社学芸文庫)では脳血栓で倒れながらも、余命をつないでいた主人公の老母が、本書の表題作でついに絶命してしまい呆然となりました。偶然のなせる技でしょうが、「おらんだ帽子」の後に本書を読む。何かの因果を感じる、と書いたら大げさかも知れません。しかし・・・。さらに本書の最後の1篇では主人公自身が高血圧のため病院での入院を余儀なくされます。ある篇では、飼い犬のブルドッグ「ボス」も6歳の誕生日を迎えた数日後、フィラリアのため死んでしまいます。主人公のふたりの自殺した姉たちを巡礼する旅の一篇も出てきます。濃密に死の薫りが漂う短篇集です。生と死とはコインの裏表に過ぎず、また、知人、身内の死は周りにいる者の内部に何かを沈殿させていく。紫煙の立ち昇るさまを呆然と見つめてしまいました。