ファリード・ゥッディーン・ムハンマド・アッタール 著 ; 藤井守男 訳、国書刊行会、1998年6月、・・・
初版 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 帯背上から下に縦にオレあり 本体三方ヤケ無 線引き無し 書き込み無し保存状態良好です。
イスラーム教における神秘主義、つまり「スーフィー」の有名な聖者たちのあまりにも苛烈な修道生活及び人生が生き生きと描写されている。特に重要なのはイブラーヒーム・アドハムの章でもともとこの人はバルフ(現在のアフガニスタン)の国王であったが、狩りに出掛けている時、神の声を聞き、自ら人生のはかなさを感じ、高価な装飾品を貧しい放牧人に与えて自らは粗末な皮衣を着用し「出家」してしまう辺りはあたかも「ブッダ伝」を彷彿とさせる。スーフィーの起原は未だに曖昧模糊としており、当時の中央アジアにおける仏教の影響力を指摘する者も多く、興味深い。この列伝は大変貴重な文献なのであるが、部分訳であり、完訳本がいつか出版される事を期待してやまない。