塚本善隆責任編集、中央公論社、昭和46年12月、502p 肖像、18cm
初版 函 帯付 両ビニールカバー付(函と本体に) 函のビニールカバー裏面上部折り返しキレあり 函ヤケ無し 帯背少色アセ 帯両面ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
本巻の編集は法然の著作が主で、明恵の著作が従であるが、注目すべきは明恵著「摧邪輪」の現代語訳(抄訳)である。白州正子の描く風雅な明恵上人とも、河合隼雄の描く柔和で夢のような明恵上人とも一味違う、哲学者としての明恵上人40歳(1212年)の作である。論争の相手は法然上人。敵愾心をもって擁護すべき学説は菩提心論である。
菩提心とは悟りの智恵を願い求める心である。菩提心の理解には深浅色々あってもよいが、菩提心そのものは、根元的なものなので、一つである。二つは無い。
菩提心を因となし、大悲を根となし、方便(実践活動)を究竟となす。
明恵は、救いの仏教ではなく、悟りの仏教にこだわった。即ち、悟ることなしには救われないと信じた。この世で、この身のまま、あるべきよう(本巻、明恵遺訓を読んで下さい)にありたいのだ。つまり釈尊をまねて生きたいのだ(即身成仏)。死後に救われたいと願う者ではない。