金子 豊編、榕樹書林、2013、380頁、A5判、1冊
並製、新刊初版。
※本の内容※ 沖縄の人で尚順の名を知らぬ者はいない。その記憶は泡盛や琉球料理についての名エッセイを通して琉球の文化に対する深い愛情へと結びついている。尚順は明治6年、最後の琉球国王尚泰の四男として生を受け、明治・大正・昭和の沖縄の近代を、政治・経済・文化の多方面に積極的に関わり、沖縄の近代を代表する文人として高い評価を得ている。沖縄初の新聞として知られる琉球新報の創刊の中心人物として、あるいは親ヤマト派の中心として、あるいは又、沖縄の亜熱帯植物園芸の先駆者として、更に、柳宗悦や藤田嗣治など沖縄を訪問する本土文化人の接待役として、忘れてはならない人物である。本書は、古い新聞・雑誌から尚順の文章を捜し出し、その全てを網羅した初の全文集であり、沖縄文化を語る上での大きな成果である。編者による長期にわたる調査によって今、尚順の全身像が明らかにされたといっていいだろう。編著による詳しい解説も含め、生誕140年を記念した尚順研究の基礎資料の決定版である。