矢内原伊作 著 ; 宇佐見英治, 武田昭彦 編、みすず書房、2003年8月、341p、22cm
5刷 カバー付 カバーy7アケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
矢内原伊作は、1956年から1961年にかけて、5度の夏をパリで過ごした。
彫刻家・画家、アルベルト・ジャコメッティのモデルをつとめるためである。
彼は、ジョンソン博士におけるボズウェル、ゲーテにおけるエッカーマンのように、
偉大な芸術家との対話を忠実に記録した。残された手帖の最初の1冊にこう記されている。
〈常に携え、一切のものを記録するためなり。外界ではなく内界を、印象ではなく思想を、
事象ではなく本質を。見ることが、そのまま生きることであるほどに。〉
芸術家は、他の誰よりも矢内原に、制作の過程で、日常の会話で、率直な言葉を吐いているようにみえる。
〈もう少しの勇気、50グラムの勇気、あと一滴の勇気さえあれば!〉といった具合に。
矢内原が生前に、最初の年の経験をもとに、『ジャコメッティとともに』と題し、まとめた単行本も
いまや幻の本となっている。それに、60年・61年の日記・手帖より再現された「ジャコメッティ語録」、
矢内原あて9通の手紙も、本書には収められている。20世紀を代表する偉大な芸術家の数々の作品に
その姿を残す〈ヤナイハラって誰?〉という、世界中の読者の問いに答えるとともに、
この一書を通して、ヤナイハラの名は不滅のものとなるであろう。