田上八朗 著、田辺製薬、1990-10、69p、26cm
はじめに
乾癬は古い時代から、 その特異な臨床像の
ゆえに存在が知られていた。 聖書の書かれ
た時代には多分、癩の一種として、患者は差
別をうけてきたと思われる。 現在、 その伝
染性は否定されたとしても、 からだに生じ
た皮疹が、 社会生活を送るうえで大きな心
理的障害を患者に与えていることにはかわり
がない。 水泳ができない、 公衆浴場や温泉
などにも入るのに気がひける、 団体旅行は
つい遠慮するなど、ふつうの人であればな
んら心理的抵抗もない行動もとりにくい。
さらには、子供にいつ皮疹がでるかとヒヤ
ヒヤし、また自分と同じような皮疹を無心
な子供にもみつけたとき、強い罪悪感に苦
しめられるだけでなく 配調者やその家族
の人にまで大きな引け目を感じ、生きてゆ
く。 特殊な例を除いては生命への予後がよ
いだけに、日常生活を人並みに送れる患者
の心理的な苦悩は、このように大きい疾患
である。
欧米では人口の2%にも達する患者たちが
結束し International Federation of Pso-
riasis Association (国際乾癬協会)を組織
し、情報活動をはじめ、 研究費の補助、 国
際シンポジウムの企画までおこなっている
また、自身が乾癬に悩み、その研究に打込
む研究者の姿もみられる。
わが国でも現在のいきおいで患者数の増
加をみるなら、欧米の患者頻度から推定す
ると、人口の2%の200万人にも達する乾癬
患者がみられるようにならないという保証は
ない。 国の医療費にとっても大きな問題と
なってきうる疾患である。その点からも、
発症の予防と早期寛解を目ざし、本症の発
症原因と発症機序の解明の急がれるところ
である。 現在、細胞生物学、 免疫遺伝学、
免疫薬理学、炎症学の進歩にともない、謎
とされてきた本症の種々の現象の発現機序
が明らかになりつつある。 しかし、現在まで
にわかってきたそれぞれの点はまだ沢山の
の頭のみの点在であ
びあわせる源に達する
その背景を
に糸をときほ
ぐすには、まだまだそのもつれの混乱は大
きすぎるといった現状である
少ヤケ グラシン紙包装にてお届け致します。