フィリップ・K.ディック 著 ; 山崎義大 訳、サンリオ、1984年4月、322p、15cm
初版 カバー付 カバーヤケ無し 本体天少「」ヤケ 線引き無し書 き込み無し 保存状態良好です。
お話の筋書きはこう。
…時は、近未来。大国間の戦争によって地上は放射能で汚染され、人々は地下シェルター都市で暮らしています。
人々は生活物資を地上で戦争を継続している政府から供給してもらう代わりに、シェルター内の工場で兵士ロボットの部品を組み立てて出荷。ノルマの達成に日々喘いでおります。
ここで、組み立て作業において不可欠な存在のエンジニアが膵臓ガンで死亡。残された者たちは、彼の遺体を速攻で冷凍保存。彼を蘇らすべく、人工膵臓を調達するために危険を覚悟で地上へと赴く─。
これだけで充分普通のSFモノになっているのですが、さすがはディック、そのままストーリーはうまく転がりません。ここから話は二転三転…いや、九転十転くらいして、最後に主人公たちは地下シェルターに帰ってきます。
この間、様々な偽物が次々と登場。しまいには何が本物なのか、本当にわけがわからなくなってきます。
現実を一度疑いだしたら、全てが作り物かもしれぬと虚無におちいる。
虚無におちいると、昨日まで現実と思っていたこともそれは本当に現実なのかと疑念にくれる。
疑念にくれるうち、そもそも現実とは何か、さっぱりわからなくなってくる。
おまけに、私たち読者は読み進むうちに小説の最初の方は少しずつ忘却していってるわけで、何が本当で何が偽物なのか、本当に何が何だかわからなくなってきます。
もしもディックが読者の混乱までをも考慮した上でストーリーを十転させているなら、これはもう「あっぱれ」としか言いようがないです。
しかし、あらためて読み直してみると、いろんなアイデア(思いつき、妄想などなど)を無造作にぶち込んでいるだけなような気が…。
いやいや、やっばりある程度確信犯的に混乱させているのでないか…。
結局、どっちかわからないです。
でも、アニメやマンガで急展開に次ぐ急展開がありますが、それになれてしまっている令和・日本の若い人たちには、ディックっぽさの十転も、そんなに違和感ないのかもしれません。
ディックの名作を一通り読んでしまって、少々駄作でも構わない、新しいディックを読んでみたい〜という方にオススメ。