アンソニー・サマーズ 著 ; 中田耕治 訳、サンケイ、昭和62年6月、636p、20cm
3刷 カバー付 カバーヤケ無し 本定点少シミ 本体小口と地ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
まず著者に感謝。そして、著者の勇気と忍耐に脱帽!600人以上の人達にインタビューしただけあって、著者の作家人生をかけた報告書と言えようか。[モンローとディマジオ]で、多少彼女の事を知ってるつもりになってた自分が甚だ恥ずかしい限りです。幾度もなく中絶を繰り返し、華麗にそして無作為に性の遍歴を重ね、男と酒と薬物に溺れ、自殺を重ねる毎に、モンローが良くも悪くも手のつけられないモンスターに変貌してしまう様子が実にダイナミックにリアルにそして実直に描かれてる。
モンローファンでなくても、実に深く暗く且つまったりと彼女と彼女の生き方にドップリと浸れる一冊です。かなりのボリュームで疲れはしますが、こういった重厚長大的な本格的人物モノも、コラムやツィーター等に慣れ親しんだ若者には勉強になるのでは。訳した中田耕治さんもさぞ大変だったと思いますが、それ以上に充実した何かを感じ取った筈です。
モンローに関する本は他にも沢山出てますが、これが最高傑作だと読み始めた瞬間に思いました。流石にアメリカの作家だったら、自国のシンボルをここまで鋭くしつこく真正直に描けなかっただろう。英国特有の紳士的でスクエアな表現が気に入りました。嘘偽りのない素のモンローがこの一冊のなかに全て納められてます。ミーハー気分で斜め読みするも、腰を落ち着けてじっくりと堪能するも良し、まさしくお薦めの一冊です。