ナトーリ　『東方の聖者イエズス会のフランシスコ・ザビエルによる奇跡譚』　ラテン語初版　アーネスト・サトウ旧蔵書 1656年　グラーツ刊 / Natolio, Francisco, S. Franciscus Xaverius, e Societate Jesu, Orientis Apostolus, Sacra Miraculorum Gratia Potami, in oppidulo, seu Casale (ut illi vocant) Calabriae, celebris. Graecii, Widmanstadius, 1656

￥275,000

• 著者 ナトーリ
• 状態 並
• 解説 First Latin Edition. Small 8vo, [125] leaves (unpaginated), early vellum cloth ties to fore edges, with bookplate of Ernest Mason Satow of Yedo, wormed by not affected on contents, stamped
  ナトーリによって纏められたザビエルの奇跡譚。もとはイタリア語で著され、初版は1653年に刊行、直ちに1654年に再版され、続いて1656年に本書ラテン語版が刊行されました。1658年にドイツ語版も刊行されています。本書ラテン語版では、それまでのイタリア語版に付されていた木版のザビエル像(あまり技巧が凝らされたとは言い難い)に代えて、新たに銅版画による精巧なザビエル像が付されています。
  本書は、幕末から明治初期にかけた日本近代史に大きな足跡を残したアーネスト・サトウの旧蔵書であることが非常に重要です。サトウが日本関係の書物を洋の東西を問わず精力的に収蔵していたことは非常によく知られていますが、特にキリシタン関係書物の蒐集には熱心で、禁教時代を経て国内で忘れ去られていた近世キリシタン史は彼によって再発見されたとも言えるほどです。ただ、非常に残念ながら、彼の蔵書は親友であるアストンやチェンバレンに寄贈したもののほかは、ほとんどがオークションを通じて散逸してしまっており、特に洋文献はその全貌がいまだに明らかになっていません。彼が日本に初めてもたらしたとされる、「蔵書票」は、洋文献に付したものには二種あることが知られており、単に「江戸のサトウ」とあるものと、「江戸の英国公使館のサトウ」とあるものとがあります。本書に付されているものは前者のもので、彼の比較的初期の蒐集によるものと推察されます。サトウの旧蔵書は現在では発見されることがほとんどなく、日本と深いかかわりのあった彼の旧蔵書である本書は非常に高い価値を有するものです。