検事 長部謹吾 ; 司法省調査課 編、梁山泊出版部、2024(元版 昭12)
菊判 オンデマンド版 ペーパーバック 著者は名古屋区裁判所検事で、司法研究第二部第11回研究員。本書は司法省調査課発行の『司法研究』第21集の第10報告書。 昭和12年3月発行で、「禁轉載」「秘」と表紙に印刷されている。当時は「転向の季節」といわれたように共産主義者の大量転向が発生した。 治安維持法とともに思想犯保護観察法が機能し、それは司法による思想統制にほかならなかった。 著者は思想検事として、国際比較も援用しながら左翼・右翼でもなく個人主義・自由主義でもない「真の日本主義」に立脚していると自負するが、使命感に裏打ちされた筆致自体が確信犯的な民族観・国家観の鼓吹を物語っている。