兵庫県加西市教育委員会社会教育課編、加西市教育委員会、1985.3、p34.p6図版17、30cm
序
加西市には、周知の遺跡として登録されている古墳の数
は、 199基を数えます。 未確認のものを含めると、 優に
300基を越すのではないかと思われます。
これはこの加西の地が、針間鴨の国として古くから開け
て来たことを物語るものと思います。
今回発掘調査を実施した 「ヤクチ古墳群」は、たまたま
圃場整備事業に伴う調査の過程で確認できたもので、当市
の北西部の山あいの、 小さな圃場の中に残され、人知れず
長い間ねむっていました。 中世の古墳再利用により、遺物
は耳環、須恵器類、土師器類が少々しか残されていません
でしたが、 家形石棺がほぼ完全な形で出土しました。 その
石組みの一つ一つや、刻み残されたノミ跡の一彫り一彫り
から、 先人達の息吹きやつぶやきが感じられました。
この石棺は、幸い北部公民館の小高い丘に、 その保存の
地を求め、 一部損失していた側板も補充して復元しました。
このかけがえのない私たちの先祖の足あとを、いつまで
も大切に保存していきたいと思います。
昭和61年3月30日
加西市教育長
良好です