グレゴリー・ショーペン 著 渡辺章悟 監訳、国書刊行会、2022、460p、菊判
この四半世紀でもっとも影響力のある仏教学者と評されるグレゴリー・ショーペン。彼の手にかかると、経典の何気ない一節が、ありふれた寄進碑銘が、ほとんど注目されない仏典が、新たな相貌を見せ始め、インド仏教の生きた世界を語りだす。
目次
謝辞および雑言 略号一覧 凡例
虚 像
第1章 大乗とインド仏教中期——漢文資料という鏡を通して
第2章 『金剛般若』の「その地点は塔廟となるであろう」という成句——大乗の経巻崇拝についての覚え書き
第3章 仏陀の遺骨と比丘の仕事——初期大乗経典に見るストゥーパをめぐる論争と伝統教団の価値観
第4章 比丘たちを経典に立ち戻らせる——初期大乗仏教における崇拝儀礼と保守主義
第5章 梵語大乗経典文献における一般化された宗教的目標としての極楽世界
第6章 中期大乗文献における古代の瑜伽者による達成法の一般化——宿命智についての覚書
断 片
第7章 インドの碑文における大乗
第8章 クシャーナ期阿弥陀像碑文とインド初期大乗の特質
第9章 大乗経典を典拠として描かれたアジャンターの観自在像の曖昧さとその暫定的な比定——ウォルター・スピンクに宛てて
第10章 ナーランダー出土10世紀碑文における『普賢行願讃』の1詩節
第11章 「アバヤギリヤ出土の陀羅尼石」について——セイロンの大乗仏教文献研究のための1資料
第12章 インドの碑文中の『菩提心荘厳十万陀羅尼』(Bodhigarbhālaṅkāralakṣa)と『頂髷無垢陀羅尼』(Vimaloṣṇīṣa Dhāraṇī)——中世インドにおける仏教の実践についての2篇の資料
第13章 「祈禱の技術」についての覚書と11世紀のインド碑文における「輪転蔵」への言及
第14章 ストゥーパとティールタ——チベットの葬送慣習とインドの仏教遺跡における「聖人の傍らへ」の埋葬
原註・訳註 監訳者あとがき 索引