古松崇志・臼杵勲・藤原崇人・武田和哉 編、勉誠出版、2019年5月、336p、21cm
12世紀前半に北東アジアより勃興、契丹(遼)・北宋を滅ぼし、広くユーラシア東方に100年にわたる覇をとなえた金国(金朝)。
その建国の中枢を担った北東アジアのツングース系部族集団である女真は、のちの大清国(清朝)を建国したマンジュ人のルーツとしても知られ、世界史を考えるうえで、金・女真は、避けては通れない大きな存在である。
近年深化を遂げるユーラシア東方史の研究の最先端より、「政治・制度・国際関係」「社会・文化・言語」「遺跡と文物」、そして「女真から満洲への展開」という四つの視角から金・女真の歴史的位置づけを明らかにする。
目次
序言
関係年表
金朝皇帝系図・金朝皇帝一覧
第Ⅰ部◎金代の政治・制度・国際関係
金国(女真)の興亡とユーラシア東方情勢
契丹遼の東北経略と「移動宮廷(行朝)」
―勃興期の女真をめぐる東部ユーラシア状勢の一断面
コラム◎「刀伊襲来」事件と東アジア
女真と胡里改―鉄加工技術に見る完顔部と非女真系集団との関係
女真族の部族社会と金朝官制の歴史的変遷
コラム◎猛安・謀克について
コラム◎金代の契丹人と奚人
十五年も待っていたのだ!―南宋孝宗内禅と対金関係
コラム◎金朝と高麗
第Ⅱ部◎金代の社会・文化・言語
女真皇帝と華北社会―郊祀覃官からみた金代「皇帝」像
コラム◎元好問―金代文学の集大成者
金代の仏教
コラム◎金代燕京の仏教遺跡探訪記
金代の道教―「新道教」を越えて
女真語と女真文字
コラム◎女真館訳語
第Ⅲ部◎金代の遺跡と文物
金上京の考古学研究
コラム◎金の中都
金代の城郭都市
コラム◎ロシア沿海地方の女真遺跡
コラム◎金代の界壕―長城
金代の在地土器と遺跡の諸相
金代の陶磁器生産と流通
金代の金属遺物―銅鏡と官印について
第Ⅳ部◎女真から満洲へ
元・明時代の女真(直)とアムール河流域
ジュシェンからマンジュへ―明代のマンチュリアと後金国の興起
コラム◎マンジュ語『金史』の編纂―大金国の記憶とダイチン=グルン
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