橿原考古学研究所附属博物館編、橿原考古学研究所附属博物館、1982-4、52, 17p、26cm
序文
本研究所の主たる任務は、奈良県下の遺跡・遺物の調査研究を進めることで
あるが、古代における大和の位置を考えれば、つねに日本考古学全般に対して
も関心を持ち続けなければならない。そこで、本研究所附属博物館は、昭和57
年度春季特別展観を催すにあたり、 奈良県内の考古学的発掘調査が、いかに日
本考古学の発達とかかわりあって来たかを県内はもちろん、 県外各地の関連遺
跡からの出土品を通して明らかにしようという方針をたてた。 そして、 近代科
学としての日本考古学の確立に最も功労があった故濱田耕作先生 (1881-1938)
の業績の一部をとりあげ、今日までの調査研究の成果と比較展示することにした。
来館の皆さんが、奈良県下の考古学的遺跡 遺物の特色と日本考古学界の進
歩向上の実態とを理解されれば幸いである。
なお、本研究所には濱田先生の遺稿類が保管されているので、併せて展示す
る。これらは、先生の令息、濱田敦教授から寄贈されたもので、 前所長末永雅
雄博士が先生の高弟の一人であったという縁により、また、恰も新築中であっ
た本研究所が、保存の場として適当と思われたからであると聞く。
これらの原稿や講義ノートから、半世紀前の濱田先生の刻苦精励の跡を偲び、
先生の豊かな学殖と能筆ぶりをうかがうことが出来よう。 日本考古学史の資料
として頗る重要である。
今回の展示にあたり、 出品を快諾された収蔵家および関係機関の各位に謝意
を表します。
昭和57年4月20日
橿原考古学研究所長有光教
グラシン紙包装にてお届け致します。