上野晴子、裏山書房、1998/4、193頁、B6判
帯ヤケ擦れ縁少切れ・天少シミ・後ろ見返しにラベル剥がし跡 1926年福岡県久留米市生まれの著者(上野英信の妻で上野朱の母)の遺稿集。著者は本書刊行の一年前に死去。「文章は最後の四篇を除き勉強会で書いた日付の順に並べた。夫・上野英信の幻影を振り払っていく過程がうかがえるのではなかろうか。また内容も相当に辛辣なものであるから、自分の知っている英信さんはこんな人ではない、これはフィクションに違いない、と受け取る人もあるかもしれない。しかし文書は鋭く、話は人を飽きさせず、いくら?んでも姿勢の崩れない英信が実像であるように、頭も尻尾もないような論理を振り回して女房を閉口させる姿も、また英信の実像なのである」(本書巻末の上野朱「騾馬の蹄」より)