シャルル・エクスブライヤ 著 ; 堀内一郎 訳、読売新聞社、昭和61年6月、297p、18cm
1刷 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体天の背近くに2ヶ所少点シミ 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好です。
原著1959年刊、邦訳刊行1986年、原題 Chewing-gum et Spaghetti。
ボストンの名家に育ち、将来を嘱望される若き法律家サイラス・A・ウィリアム・リーコックは、世界巡回研修の仕上げにイタリアに立ち寄り、ヴェローナ市警察のロメオ・タルキニーニ警視のもとで実践捜査に参加することになります。
何より秩序と能率を重んじるリーコックが、享楽的な典型的イタリア人警視の一挙手一投足にやきもきしたり、気が狂いそうになったり爆発したり。しかしロメオ警視は「すべての犯罪の根源は愛であり、解決もまた愛による」と、ヴェローナ式捜査法で堂々と受けて立ちます。
滞在が長くなるにつれリーコックがイタリアを理解し始めるのと対照的に、父親とともに彼を連れ戻しにくる富豪の娘で婚約者ヴァレリー・ピアスンがこの小説の真の悪役。その頑迷さはイタリアひいては古いヨーロッパ的価値観をすべて否定する。リーコックやヴァレリーのアメリカ至上主義、能率第一主義、拝金主義をときにはソフトに、ときには仮借なく揶揄するロメオ警視やヴェローナの庶民たちの言動に、私もつい腹を抱えて笑いながら快哉を叫ぶのです。
ヴァレリーの剣幕にたじたじとなった父ピアスン氏の台詞、「サイラス、